「期待に応えなきゃ」を手放し、素直な自分で「働く楽しさ」を知るまでー 30代男性・適応障害体験談【メンタル不調からのリライフストーリー】

23 views

今回ご紹介するのは、化学メーカーの研究職として働くさなか、適応障害の診断を受け、休職を経験したヤスさんの体験談です。

「期待に応えたい」「結果を出さなきゃ」と、無理に自分をよく見せながら、働き続けた結果、ある日身体が動かなくなってしまったといいます。

しかし、半年間の休職とリワーク施設での自己理解を経て、「成果」ではなく「自分の心地よさ」を大切にする働き方へとシフトしていきました。

ヤスさんが、他人の評価を手放し、素直な自分のままで仕事を楽しめるようになるまでの歩みを伺いました。

「期待に応えなきゃ」と
理想の自分を演じ、迎えた限界

学生時代から私には、周囲の環境に合わせて無理に自分をよく見せようとする癖がありました。

「真面目に全力で頑張るキャラ」の鎧をかぶっていましたが、本来はマイペースな性格で。

期待に応えようと、中高一貫の進学校で勉強に励みつつ、人間関係にも気を遣い続けるうちに、「この環境から逃れるために、早く卒業したい」とばかり考えるようになっていきました。

ですが、そんな無理な頑張りが長続きするはずもなく、途中で疲れて体調を崩すサイクルを繰り返していたと思います。

当時の唯一の楽しみは、漫画やアニメの世界に没頭し、辛い現実から逃避することでした。

それでも、小学校の卒業アルバムに書いた「将来は研究をする仕事に就きたい」という夢を叶え、大学院を経て化学メーカーに研究職として入社できた時は、「頑張れば報われるんだ」と心から嬉しかったです。

しかし、実際の現場は想像以上に過酷でした。「自分で考えて動け」という社風のなか、専攻とは異なる分野で、イチから勉強し直す日々が始まります。

周囲の期待に応えなければという思いが強すぎるあまり、「できるできないじゃなくて、やるしかない」と自分を追い込み、1年目から深夜まで残業をして必死に食らいつく毎日でした。

大きな転機となったのは、入社3年目のこと。社内の業務に加えて、外部機関との共同研究も兼任することになったのです。

「まだ頑張れる」と引き受けたものの、職場と外部機関の移動という物理的な負担に加え、「結果を出さなければ」というプレッシャーから業務量もどんどん増えていきました。

食事や入浴すら億劫になり、「ちゃんと生活しなきゃ」と思うほど身体が動かない。疲れ切っているのに「早く寝なきゃ」と思うほど仕事の悩みが頭から離れず、一睡もできずに朝を迎える日もありました。

激しい頭痛で思考がまとまらなくなったり、そのせいで仕事が思い通りにいかないと怒りを抑えられなくなったりと、仕事にも生活にも支障が。

そんなある日、新型コロナウイルスに感染し、熱は下がったものの、どうしても起き上がることができなくなってしまって。張り詰めていた糸がプツリと切れた感覚でした。

なんとか無理をして職場に行くものの、何もできない状況が続き、「さすがにこれはおかしい」と心療内科を受診したところ、「適応障害」と診断されました。

「甘えている」「評価に響く」
焦りと罪悪感のなかで始まった休職

その後、休職することになったものの、「自分は甘えているんじゃないか」「復帰後の評価にどう響くんだろうか」という迷いや葛藤は当然ありました。

休んだ方がいいと頭では理解しつつも、「数週間から1ヶ月程度で復帰しなければ」と募る焦り。

しかし、いざ実家に帰って休んでみると、最初の1ヶ月半は記憶がほとんどないほど、ひたすら横になって眠り続けていました。それほどまでに、心身は休息を欲していたのだと思います。

家族が状況を受け入れ、徹底的に休める環境を整えてくれたことも大きかったです。たくさん食べて、たくさん寝る。

そんな日々を重ねるうちに、「本来はマイペースで、のんびり過ごすのが好きな自分」を取り戻し、いい意味で焦りも薄れていきました。

はじめは家の周りを5分歩くことからスタートし、少しずつ外に出られる時間が増えていって。

もともと自分で焙煎した豆でコーヒーを淹れるのが好きだったことを思い出し、それも大切な日課になりました。

ただ、外出はできるようになったものの、家の中で横になって過ごすことが多い私を見かねて、家族が「リワーク施設の『リヴァトレ』が大阪に新しくオープンするみたいだから、一度行ってみたら?」と勧めてくれたのです。

最初は「そんなところに行くなんてめんどくさい」「ずっと寝ていたい」と後ろ向きで。

でも、このままの生活を続けて復職する自分は想像できなかったので、まずは「朝起きて通うだけ」を目標に、軽い気持ちで通い始めることにしました。

働きすぎておざなりになっていた、
マイペースな自分も受け入れられるように

週1〜2日からリヴァトレに通い始めたものの、当時は朝10時に施設へ行くことすら、やっとの状態。

最初は明確な目的や希望もないまま通っていましたが、次第に慣れてくると「どうせなら、自分のためにとことん、この場所を使おう」という意欲が芽生えてきました。

そうして過ごすうちに、「自分が何に幸せを感じるのか」「将来どうなりたいのか」と、自分のことをもっと知りたいという思いが強くなっていって。

まず自分を知るきっかけになったのが、「リソースワーク」というプログラムです。

自分に良い影響を与えるものを「リソース」と呼び、洗い出して活用していくプログラムなのですが、「本を読む」「森林浴をする」といった行動だけでなく、自分の性格もリソースとして探していきます。

ワークを進めるうちに、マイペースに思考を深めるのが好きな自分の性格を、「思慮深い」と前向きに受け入れられるようになっていきました。

働きづめの毎日では忘れていた好きなことを思い出したり、自分の核心に触れられたような感覚があったのです。

もうひとつの大きな変化のきっかけとなったのが「自己分析プログラム」でした。

※自己分析プログラムとは? 「交流分析」という心理療法をもとに、性格の傾向や価値観、人との関わり方を整理するプログラム。ここで深めた自己理解は、他のワークに取り組む指針となり、今後の生き方を考える土台にもなります。

課題に取り組みながら自分自身と対話を進め、「自分はどんな人間なのか」を深く理解していく、将来の糧になるような時間でした。

「自己理解」といっても決して大げさなものではなく、まずは出された宿題を「いろいろな場所でやってみる」という小さな実験からスタート。 施設内にとどまらず、近所にあるさまざまなカフェに足を運んでみました。

「どんな雰囲気の空間が落ち着くのか」「どこのコーヒーを美味しいと感じるのか」。日常のささやかな実感を通して、少しずつ自分を知っていく日々でしたね。

また、通所を機に始めた日記も、自分を知るうえでとても役に立ちました。

「外が晴れていて気持ちよかった」「夜ごはんが美味しかった」。そんな何気ないことから書き始め、 調子が良い時も悪い時も、言葉にできない名前のない感情も、少しずつノートに書き綴っていました。

モヤモヤした感情をそのままにせず、「自分は何に悩んでいるんだろう」と考えるきっかけとして、今の気持ちやその日の出来事を、まずは言葉に置き換えてみる。

書き続けることで、自分の小さな変化に気づけたり、素直な気持ちと向き合ったりすることが習慣になっていきました。

自分に素直になれたことで、
他人を頼りやすくなった

リヴァトレ退所後のキャリアを考えた末、私は「自分らしく働き続ける」という目標を胸に、元の会社へ復職する決断をしました。

「周りの期待に応えなきゃ」「結果を出さなきゃ」というべき思考をゆるめ、自分を大切にしながら仕事ができる状態ですね。

復職が決まった時、「職場の人はどう思っているだろう」という強い不安がありました。そこで、復帰する前の週に会社へ挨拶のためだけに顔を出してみることにしたんです。

「ご迷惑をおかけしました。来週から復帰します」と緊張しながら頭を下げると、上司や先輩方が「おう、元気そうで良かったわ!」「無理すんなよ」と、休職前と変わらない明るい距離感で接してくれたことに、救われました。

事前の面談で兼任体制を見直してもらい、現在は連携機関での研究業務に専念できています。

研究業務に加え、製品をどうお客さんに認知してもらうか、売っていくかといった業務も含め、多岐にわたる仕事をさせてもらえるように。難しい反面、新鮮な気持ちで日々仕事ができています。

復職して1年が経ち、仕事に慣れてくると、どうしても昔の完璧主義が顔を出し、「成果を出さなければ」と思うことも。

けれど今は、ダメならダメで仕方ないし、まずは自分の体調を優先していこうと自分のコンディションに合わせて、頑張るラインを調整できているのが一番の変化ですね。

少し俯瞰して、「高い成果(成果目的)」に焦点を当てる日と、「今日はこのタスクをやり遂げた(行動目的)」と自分を認める日、このふたつのバランスを使い分けている感覚です。

大変な時はプライドを横に置いて、素直に「手伝ってください」と助けを求める。自分に素直になれたことで、周囲にも頼りやすくなりました。

この「自分軸」のバランス感覚を手に入れたことで、どんな仕事に対しても「まずはやってみよう」と、軽やかな気持ちで挑戦できています。

今は、成果やキャリアよりも、
もっと大切にしたいものがある

メンタルを崩した当初は、「自分のキャリアに傷がついてしまう」という不安でいっぱいでした。

けれど休職を経験した今は、成果やキャリアよりももっと大切なものがあると気づくことができました。

身近なことにも幸せを感じられるようになり、「朝起きたら天気がいい」「空気が美味しい」「通勤電車で座れた」といった日常の喜びに目が向くように。すると自然と仕事でも、自分の成長やできたことに気づけるようになりました。

休職していた半年間は、人生の中で一番自分自身を深く見つめ直すことができた、かけがえのない時間だったと確信しています。

今、メンタル不調と向き合っている方は、頭の中が不安やネガティブな考えでいっぱいになっているかもしれません。

まずは一度立ち止まって、自分が今なにを感じているのか、心の内側の声に耳を澄ませてみてほしいです。「美味しいものが食べたい」「ゆっくり寝たい」「何もしたくない」、どんなことでもいいと思います。

リヴァトレへの問い合わせに迷われている方へ、ヤスさんからのメッセージ

最初は「スタッフさんに愚痴を聞いてもらおう」「同じ境遇の人と雑談しに行こう」という軽い気持ちで十分です。

通い始めると「毎日ちゃんと行かなきゃ」と自分を追い込んでしまいがちですが、しんどい時は休んでも大丈夫。深刻に考えすぎないでほしいなと思います。

少しずつ環境に慣れていけば、自分なりにやってみたいことやできることが、自然と増えていくはずですから。

私が通っていたリヴァトレ大阪本町のスタッフさんは、楽しく話せた記憶しか残っていないくらい、本当に優しくて、気さくな方々でした。まずは一度見学に来ていただいて、様子を見て、合うかどうか決めていただけるといいかなと思います。

【メンタル不調の当事者向け】
LINEにて限定情報を配信中

株式会社リヴァが運営する公式LINE『メンタル休職ラボ』では、“メンタル不調×仕事復帰”に役立つ情報を配信中です。

  • 支援のプロへのお悩み相談 YouTubeライブ
  • 休職・離職者限定オンライン当事者会
  • 限定動画「認知行動療法の考え方で、心をラクにする習慣」


アンケート回答で、動画・記事をまとめた「コンテンツ一覧リスト」もプレゼントしていますので、ぜひご登録ください。

LINE公式アカウント登録

【復職準備をしたい方へ】
休職・離職を、自分を見つめ直すきっかけに

メンタル不調で休職・離職している方向けのサービスの1つ「リワーク」を耳にしたことはあるでしょうか。

対人コミュニケーションやストレス対処法など様々なプログラムを通して、復帰に向けた準備ができるサービスです。

株式会社リヴァが運営するリワーク(就労移行支援)サービス『リヴァトレ』のスローガンは、「戻ろう、ではなく、進もう。」です。

ただ「戻る」のではなく、「働き方・生き方を見つめ直し、納得感をもって一歩踏み出していただく支援」を大切にしています。

「興味はあるがどんな所かイメージできない」という方は、ぜひデジタルパンフレットをご覧ください。

  • 復帰者のインタビュー
  • 専門家からのメッセージ
  • 復帰までの流れ


※パンフレットのお申込みでお電話を差し上げることはありません。

資料請求

この記事をシェアする
仙台リワーク支援マップ_sugeno
この記事を書いた人
菅野智佐

株式会社リヴァ ブランディング部

1996年福島県生まれ。山形大学を卒業後、18卒として(株)リヴァへ入社。ラシクラ事業部・新卒採用の責任者を兼任しながら、新規事業「あそびの大学」の立ち上げに至る。自分らしいと感じる瞬間は「物事の背景を探求している時」。趣味は、DIYと金継ぎ。

トップ
トップ