「うつ病で外出がつらい…。」そんな時の対処法は? - 行動活性化法のご紹介

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「朝起きても、おっくうで外出ができない」「今日も1日中家の中でごろごろしてしまった」これは、うつ病の方からよく聞く悩みです。

そんな日に「一日、ベッドの中にいたら余計に落ち込んでしまった」という方もいれば、一方で「思い切って行動してみたら少し気分も軽くなった」という方もいるでしょう。このようなことが起こるのは、体と心がリンクしているからなのです。

この記事では、そんな時に使える「行動活性化法」という方法をご紹介します。

行動活性化法とは?

行動活性化法とは、認知行動療法の一つであり、うつ病の治療で有効性が実証されている心理療法の一つです。実は、私たちの行動は意識しない機会が多いのです。そのため、気持ちが軽くなったり、楽しくなったりする行動を振り返り、その行動を増やしていくことで、気持ちを改善していくことを狙います。

つまり、行動活性化法とは、「ポジティブになれる行動を徐々に増やすことで、気分を変えていく方法」といえます。

行動を活発にするだけでいいの?

行動活性化法は「単に活動を増やせばよい」ということでありません。

まずは、自分にとって望ましい行動(ポジティブな行動)と望ましくない行動(ネガティブな行動、回避的な行動)の2種類を探すことが大切です。

ポジティブな行動

ポジティブな行動には「喜びを感じられる行動や達成感を感じられる行動」「一時的にはしんどくても長期的に見たら気分が楽になる行動」が挙げられます。

例えばウォーキングや仲の良い友人との会話、また毎日、リヴァトレに参加することなどもポジティブな行動といえるでしょう。「一日の終わりにゆっくりと体を休める時間をもつ」といった「”行動をしない”という行動を選択する」ことも、時にポジティブな行動になります。

ネガティブな行動

ネガティブな行動とは「嫌な気分を回避するために行ってしまう行動」です。

例えば、気分がすぐれないからと、一日ベッドの上で横になって過ごす、テレビをボーッと見て過ごす、何度も過去のことを頭の中で考えるなど。

これらは、短期的には楽に感じられても、長期的には不快な気分を引き起こす、望ましくない行動です。一方で「ランニングをする」といった一般的に望ましいと思われる行動でも、その人にとっては不快な行動となるようであれば、避けた方がよいでしょう。

 

私たちの1日の行動量は決まっています。例えば、落ち込んだ時に、ネガティブな行動が増えれば、ポジティブな行動が減っていきます。回避的な行動が増えれば増えるほど、気分はますます落ち込むスパイラルに入ります。

 

そうならないためには、ポジティブな行動を増やすしかありません。そうして「ポジティブな行動」を増加させることネガティブな連鎖を断ち切り、症状を良くしていくのが行動活性化法です。

行動活性化法を行うためのコツ

日々の活動を記録する

それでは、自分自身にとって、ポジティブな行動とネガティブな行動とはどういう行動でしょうか。人間の行動の8割は無意識に行われているといわれていますが、自分がどんな行動をすることでどんな気分になっているかは、案外、気が付きにくいもの。そこで役に立つのが「活動記録表」です。

表1 活動記録表の例

活動記録表をつける目的の1つ目は、自分の行動と気分のつながりを把握すること。

2 つ目は「自分にとって気分が楽になる、達成感を感じられる行動」や、逆に「気分が落ち込む、不安になる行動」などを把握することです。

活動記録表を振り返る

活動記録表に記入をしたら、その内容について振り返ってみましょう。実際にどのような活動で気分が楽になったのか、落ち込んでいた時はどんな時だったかを考えていきます。そして、ほとんど無意識で行っている行動を振り返り、気分と行動のパターンを把握します。

 

例えば表1にある、朝に顔を洗う行動やコーヒーを淹れる行動は、ポジティブな影響を与える可能性があります。日頃、なんとなく過ごしている中にも、意外に気分が良くなる行動が隠れているものです。

行動を計画する

振り返りを終えた後は、日々の生活の中に「自分がやってよかった」「気分が楽になる」といったポジティブな行動を組み入れるよう計画します。表2のように行動計画を手帳に書き込むなどし、気軽に取り組めそうなこところから、日々の生活の中の予定に入れていくと良いと思います。

また、活動記録表には記載されていないものでも、「自分が過去に取り組んで気持ちが楽になったこと」「試したことはないがやってみたいこと」があれば、入れてみると良いでしょう。そうすれば、自分に合ったヒントが見つかるかもしれません。

表2 行動計画の例

行動活性化法って効果はあるの?

行動活性化法については、多くの研究が行われています。

少し前の研究になりますが、行動療法の専門家ニール・S・ジェイコブソンは「うつ病の治療において行動活性化法は認知療法(認知行動療法)の治療パッケージと同等の効果が見られる」との研究報告しています。また、2016年のLancetの論文においても「行動活性化法で、専門家による認知行動療法治療に劣らない治療効果が得られた」ということが発表されています。

行動活性化法のうつ病に対する有効性の高さが示されているわけです。

まとめ

簡単ではありますが、以上が行動活性化法についての説明です。気分によって行動を左右されるのではなく、行動から気分をコントロールしていこうというのが行動活性化法の目的。

まずは行動を記録して、計画を立て、気軽に始められそうな行動からトライしてみてはいかがでしょうか?

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この記事の監修
佐々木 規夫 東京中央産業医事務所

産業医/精神科医
産業医の実務のエキスパートとして多くの企業の健康管理に従事する。
メンタルヘルス対策では、体制作りから事例対応までの予防活動を担う。

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