【リワーク選びの疑問を解決】医療リワークと福祉リワークの違いを徹底解説!

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「リワークを利用したいけれど、自分に合う施設はどう選べばいい?」

「医療リワークと福祉リワーク、何が違うんだろう?」

メンタル不調で休職・離職中で、リワーク利用を考え始めた方の中には、こうした疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、福祉リワーク「リヴァトレ」のスタッフ馬場(写真左)と、医療リワーク「こころみベース」で支援員を務める木村(写真右)が1日交換訪問を実施しました。

実際に他の施設を体験したからこそ見えてきた支援内容の違いや共通点施設のリアルな雰囲気などを解説します。

どのリワークに通うかお悩みの方は、ぜひご参考にしてみてください。

【福祉リワークと医療リワーク】
利用条件や制度はどう違う?

ーまずは、利用対象者の違いについて、教えてください。

馬場:リヴァトレは、うつ病や適応障害、双極症などの精神疾患をお持ちの方のうち、休職・離職中復職の意欲がある方が対象です。

疾病で利用可否を決めることはありませんが、利用する場合は、必ず主治医の許可を得る必要があります。

木村:こころみベースも精神疾患により休職中で、復職への意欲があり、通院治療に関して主治医の許可を得ている方を対象としています。

大きな特徴として、リヴァトレさんとは異なり、離職中の方はご利用いただけません。

ご利用にあたっては、こころみクリニックの医師からの紹介だけでなく、他院に通院されている場合でも主治医の許可や指示があれば可能です。

ー対象者については、一部違いがあるのですね。次に利用料金について教えてください。

馬場:リヴァトレは東京・大阪・仙台に事業所があるのですが、障害福祉の制度上、施設ごとに料金が異なります。

一日あたりの利用料は1,500円~(2024年度末時点)ですが、前年度の世帯収入に応じて、ひと月あたりの自己負担の上限額が以下のように決まっています。

また、自治体によっては独自の助成制度があり、前年度の収入に関わらず自己負担額が0円になる場合もあります。

ご自身の負担額について詳しく知りたい場合、お住まいの自治体にご確認いただくか、リヴァトレにご相談いただければ確認のお手伝いをさせていただきます。

木村:医療リワークは、通常の医療サービスと同様に健康保険が適用され、自己負担は原則として医療費全体の3割となります。

さらに、こころみベースでは「自立支援医療制度」を活用することで、3割負担を1割にまで軽減しています。その結果、1日あたり830円でご利用いただくことが可能です。

加えてこちらも、前年の世帯収入に応じて、月の自己負担上限額が以下のように定められており、上限額を超えてお支払いいただくことはありません。

ー料金については、まずはお問い合わせいただいて、サポートを受けながらお住まいの自治体に確認ができるとよさそうですね。問い合わせてから、利用するまでの流れについても教えてください。

馬場:リヴァトレでは、Webサイトやお電話で問い合わせいただいた後、オンラインで説明を受けるか、施設を見学するか、いずれかをお選びいただけます。

その後、まずは週に2回程度通える体調かを確認するために、最低2回のプログラム体験をお願いしています。

体験の結果、「利用したい」とご判断された場合は、お住まいの自治体で障害福祉サービスの利用手続きを行なっていただきます。

利用開始までの期間は自治体によって異なりますが、目安として申請から1か月ほどを要することが多いです。申請手続きには不安もあると思いますが、スタッフが責任をもってサポートいたしますのでご安心ください。

木村:こころみベースに興味を持たれた方は、まず主治医とご相談したうえでご連絡いただいています。

その後、施設見学を経て、利用を検討される場合は、休職の経緯などをお伺いする面談を1時間ほど実施します。初回面談の内容をもとに、利用の可否を判断し、利用が決定しましたら、自立支援医療の申請を行なっていただきます。

自立支援医療は、主治医の診断書があれば申請でき、原則として申請した日から利用を始められます。

診断書の準備期間によって、利用開始までの日数は前後しますが、すでに自立支援医療を取得されている方は、すぐに利用を開始できます。

ー申請方法やかかる期間については違いがありそうですね。実際に利用される期間はどのくらいが多いのでしょうか?

馬場:リヴァトレでは休職していて元の職場への復職を目指す場合は、3か月から6か月程度、転職や再就職を目指す場合は9か月から1年ほど利用されるのが一般的です。

ただ、制度上は最長で2年間利用できます。当初は早期の復帰を希望されていた方でも、じっくりご自身と向き合うため1年以上利用されるケースも少なくありません。

ご自身のペースで利用期間は選んでいただきたいと思っています。

木村:こころみベースでは、休職者のみが利用ということもあり、平均的な利用期間は3か月から4か月ほどですね。

具体的には、まず週2日または3日から通所を開始し、4週間ごとに週4日、週5日と徐々に増やしていく流れとなっていて、最短でも12週間(約3か月)の利用が必要です。

【福祉リワークと医療リワーク】
体験して分かったプログラムの違いと、それぞれの施設の雰囲気

ー体験を通じて、自分たちの施設との共通点や違いはありましたか?

馬場:こころみベースは利用者さん同士の雰囲気が和やかで、皆さん優しく接してくださいました。

リヴァトレではプログラム中は時間管理をしっかりしていて、いい意味で仕事に近い緊張感があるのですが、こころみベースはもう少しフランクで、利用者さんに進行をお任せをする場面もありました。

木村:ありがとうございます。私は、リヴァトレの時間管理や進行の仕方がいいなと思いました。

タイマーを使って発言時間を管理することで、全員が平等に話すことができ、プログラムもスムーズに進んでいました。

個々のペースを尊重しながらも、しっかり時間を区切ることが、安心して話せる雰囲気に繋がっていたと思います。

こころみベースでは、利用者さんに「支援者と利用者」という関係だけでなく、「対等なメンバーの一員」として感じていただけるような関わり方を意識しています。

もし私たちの関わりがフランクに感じられたのであれば、そうした姿勢が影響しているかもしれませんね。

馬場:リヴァトレでも、スタッフは「伴走者」というスタンスを大事にしています。同時に、「ここは仕事復帰に向けて、段階的にストレスをかけていく必要がある場所だよ」ともお伝えしています。

何でも相談していただける安心感を作りながら、適度な緊張感も持って、再発につながるストレスのギャップを減らすことを大切にしています。

ー支援のスタンスには共通している部分があったのですね。利用されている方さん同士の様子はいかがでしたか?

馬場:こころみベースでは、利用者さん同士が自然に助け合いながら温かい雰囲気をつくり出しているのが印象的で。

新しく参加したメンバーが何をすればいいのか分からないときでも、既存のメンバーが積極的に声をかけてサポートしている場面がありました。

私が参加した時も、利用者さんの方からワークシートの書き方を教えてもらって、その優しさがとても心に残っています。

木村:リヴァトレでも同じように、利用者さん同士が協力し合っている様子が見られました。新しく参加した方が戸惑っているときに、周りの方々が自然とサポートしている雰囲気が素敵だなと感じましたね。

「このプログラムはこういう流れですよ」と説明していたり、「すごいですね!」と何気なく声をかけ合うやり取りが、リヴァトレの温かい雰囲気をつくっているんだなと思いました。

馬場:スタッフからお願いしなくとも、利用者さんたち同士で、はじめて来る方のフォローをしてくださるのは本当にありがたいなと思っています。

はじめて施設に来るのは緊張と不安でいっぱいだと思いますが、スタッフもしっかりフォローするので、安心していらしてほしいですね。

ー実際に、利用を開始した後は、どんなふうに1日を過ごすのでしょうか?

馬場:リヴァトレでは、朝9時に事業所が開きますが、プログラムが始まるのは10時からです。

9時から10時の間は自由時間として、自習をしたり、他の利用者さんと話したり、それぞれのペースで過ごせる時間になっています。

午前と午後のプログラムに参加した後は、1日の振り返りを日報に記入して1日が終わります。

施設自体は16時まで開いているので、帰る時間も人それぞれですね。プログラムに参加せずに、自習を行うこともできるので、自身の課題やペースに合わせて過ごすことができます。

木村:1日を振り返る日報というのはどういうものですか?

馬場:リヴァトレには、自社開発した独自の記録システム「ラシクラ」があり、利用者の皆さんにはパソコンを使って、毎日の目標や一日の振り返りをラシクラに入力していただいています。

何も考えずに1日を過ごさないためにも、「今日はこんなことにチャレンジしてみよう」と目標を設定してから、プログラムに参加していただくようにしているんです。

1日の終わりには、「どんな点が良かったか」「もしできなかったことがあれば、次はどう改善できるか」などを具体的に振り返り、次回の活動につなげる意識を高めてもらうようにしています。

こころみベースさんの一日の流れはどうですか?

木村:こころみベースでは、1日のスケジュールが比較的しっかりと決まっています。朝は9時15分までにお越しいただき、その後、朝のミーティングを行います。

午前中は1時間のプログラムが2コマあり、12:00から13:10までは昼休憩です。午後のプログラムを1コマ終えた後に夕方のミーティング、そして最後に15:00から16:00までが自由時間、というのが主な流れです。

馬場:皆さんで同じプログラムに参加し、全員の一日の過ごし方が同じという点がリヴァトレとの違いですね。

木村:そうですね。こころみベースは、1週間のスケジュールが固定されていて、全員が同じプログラムを受ける形です。

全員が同じペースで進むことで一体感が生まれやすく、参加者同士のつながりが深まりやすいのが特徴かなと思っています。

逆に、リヴァトレのように参加するプログラムを自由に選択できたり、自習の時間を作ってで今の自分に必要な取り組みができる柔軟性は魅力だなと感じました。

ー提供しているプログラムはたくさんあると思うのですが、特長的なものがあれば教えていただけますか。

木村:こころみベースでは、「自己理解」「感情の整理」に重点を置いています。

色々な角度から自分を分析したり、復職前の出来事を整理して復職後にどう立ち回るかを話し合います。そうすることで、再休職を防ぐ意識を高められるんです。

こころみベースでは、利用者さん同士が「この人は今こういう課題に取り組んでいる」というのを把握しあっているので、「今週はその課題、クリアできましたね」とか「〇〇が良くなってきていますね」と、お互いにフィードバックを送り合う文化があります。

そうしたやり取りの中で、少しずつ自信をつけていくことができるのも特徴ですね。

リヴァトレさんはどうですか?

馬場:リヴァトレで提供するプログラムには「生活習慣」「ビジネス実践」「ストレス対処」「キャリア」の4つのカテゴリがあるのですが、特にビジネス実践やキャリアデザインが強みです。

一つ「ビジネスコンペ」というプログラムをご紹介しますね。これは利用者さん同士でチームを組んで、約1か月間にわたって取り組むプログラムです。

実際のコンペのように、新サービスの提案などテーマに応じて資料を作成し、経営陣や発注主想定の人たちにプレゼンを行います。

通常のプログラムと同時にか月間並行して取り組むため、自身のタスク管理や学んだコミュニケーションやストレス対処を実践する場として、「復帰前に受けておいてよかった」と好評なんです。

木村:これまでの取り組みを振り返りつつ、仕事に近い負荷を経験できるのは、復職後の準備としてすごく良さそうですね。

馬場:ありがとうございます。キャリアデザインの観点では、「イキカタサガシ」というプログラムにも力を入れています。

これは、地方での生活体験やフリーランスの方との交流などを通じて、ご自身のキャリアを見つめ直すもので、これまでの経験や常識などの制約を取り払って、自分と向き合う機会を作りたいという思いで、運営しています。

地方での生活体験はこれまで千葉県や高知県、奈良県など幅広い場所で実施してきていて、リヴァトレを代表するプログラムの一つです。

木村:あまり一般的なリワークでは見られない、珍しいプログラムですね。どういった意図があるんですか?

馬場:はい。リヴァトレでは、休職・離職期間を、ただ職場に「戻る」ための時間ではなく、自分らしい生き方を見つける絶好のチャンスと捉えています。

そのため、リワークとしての社会復帰準備だけでなく、視野を広げて、その先の人生まで考えられるようにサポートすることを大事にしています。

木村:素敵ですね。こころみベースとも共通する考え方だと思います。

休職という大きな節目だからこそ、キャリアや人生観を改めて整理して、「本当の幸せ」や「自分らしさ」をじっくり考える場を提供することが大事ですよね。

【福祉リワークと医療リワーク】
それぞれが大切にしている支援の姿勢

ーこれまでサービスの話を伺ってきましたが、お二人が支援をするうえで大切にしていることもぜひ教えてください。

馬場:私が大切にしているのは、「謙虚であること」です。

どうしても支援する側/支援を受ける側という関係になりがちですが、私はあくまで「伴走者」として、対等な関係でありたいと思っています。

利用されている方々は、「なりたい自分」に近づいていく力を絶対にお持ちだと信じているので、私はあくまでその力を発揮できるように見守り、サポートしていく。そんな対等で謙虚な姿勢を大切にしています。

木村:素敵ですね。私も利用されている方々が「どうしたいのか」という意思を大切にしたいと考えています。つい、「こうしたほうが上手くいくんじゃないか」と言いたくなってしまうこともあるのですが、やはり一番大切なのは、その人自身の意見を尊重することだと思うんです。

あとは、「自己開示をすること」も大切にしていますね。

自分の課題についてプログラムの時には、まず進行している私が自分の課題について話すなど、私もあなたも同じ対等な関係なんですよというのを伝えたいなと思いながら、関わらせていただいています。

ー事業所は違えど、同じ想いをもって支援に関わられているのですね。最後に、この記事を読んでリワークに興味を持ってくださった方々に向けてメッセージをお願いします。

馬場:「今の状況をどうしたらいいのか」「リワークを使うべきかどうか」など、悩んでいること自体が、すでに「一歩踏み出している証拠」だと思います。

無理はしてほしくないのですが、まずはWebサイトを見てみる、資料請求のボタンを押してみるなど、小さな一歩を踏み出していただけると嬉しいです。

木村:リワークは「あなたを変えてしまう場所」ではなく、あなたがすでに持っている力を再確認して、この先、生きていくための力をつけられる場所です。

新しいことをするには不安もあると思いますが、ぜひ一歩を踏み出してみてもらえたら嬉しいです。

ーお二人ともありがとうございました。
リヴァトレ・こころみベースが少しでも気になるなと思ってくださった方は、ぜひ以下情報や問い合わせ先をご確認ください。

こころみベースとは?

医療法人社団こころみグループ運営のリワーク施設。

心身の回復に加え、キャリアや人生観を整理し「自身の幸せとはなにか」を見つめ直す場を提供。

臨床心理士や精神科医など、各分野の専門スタッフが連携し、休職中の方が社会復帰へ向けたトレーニングに取り組みながら、心の拠り所を得られるようサポートします。

▶場所:神奈川県の元住吉駅から徒歩3分

▶HP:https://cocoromi.clinic/

▶電話:044-948-8579

まずは無料パンフレットをご覧ください

リヴァトレは、うつなどのメンタル不調でお悩みの方の復職・再就職をサポートするリワークサービスです。

復帰に向けて行う取り組みについて、無料パンフレットでわかりやすくご紹介しています。

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この記事を書いた人
来迎成美 株式会社リヴァ リヴァトレ事業部

復職・再就職コーディネーター/精神保健福祉士
1998年岩手県生まれ。東北福祉大学を卒業後、2021年に新卒社員としてリヴァへ入社。現在はリワーク支援施設「リヴァトレ仙台花京院」で、プログラム提供に携わる。自分らしく感じる瞬間は「道に迷っている時」。

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