家族がうつ病っぽい…どう対応すべき?誰に相談したらいいかわからないあなたへ

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皆さんは、うつ病のことをどのくらい知っていますか?うつ病は誰しもかかる可能性がある病気です。今回の記事では、身近な家族がうつ病になったときに備えて、うつ病のサインや症状、その時の本人の気持ちを理解した上で、家族としてできる対応などについてお伝えします。

家族がうつ病?大変な時こそ身近な人が寄り添ってあげよう

「なんだか最近様子がおかしいな」「いつもと違うな」といった、普段との違いに気付ける人というのはどんな人でしょうか?おそらく本人の身近にいる家族のことを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

うつ病のケアにおいて、精神科や心療内科の先生など、心の専門家ができることは治療に繋がった後からの話です。しかも、実際に専門家が本人と接することができるのは、受診やカウンセリングの時間だけ。それに比べて家族の場合、治療につながる前からサポートができますし、専門家による治療や診療が始まってからもより生活に根ざした具体的なサポートができます。

つまり、一緒に生活している家族だからこそできることがたくさんあるのです。

家族がうつ病に…。精神的な悩みを持つ人の”心の状態”を知っておこう

家族にうつ病の疑いがあっても「自分自身はうつ病になったことがないし…一体どんな心の状態なのだろう?」と少し不安になりますよね。家族の目には見えてこない、本人が抱えている心の状態とはどのようなものなのでしょうか。

何もしたくない

うつ病のような症状が出てくると、本人は「何もしたくない」と頭も心も身体も行動することが非常に億劫な状態になります。これは、うつ病ではない人が感じる「疲れたから何もしないで家でゴロゴロしていたい」という感覚とは全く異なるものです。ベッドから身体を起こすという動作も、食事を口に運ぶという動作も、当たり前に行っていたあらゆる動作が億劫に感じられ、それらの行動をするには非常にエネルギーを使うことになります。

自分はダメな人間で、迷惑な存在だ

集中力が続かないことによって、これまで当たり前に出来ていた些細な判断や作業が上手くいかないことが続き、「自分はだめな人間だ」「周りの人に迷惑をかけている」「こんな自分は存在価値がないのではないか」と思うようになります。

うつ病になる人は元来真面目な性格であることが多く、「何もしたくない」「何をするのもしんどい」と思いながらも周囲に迷惑をかけないようにと必死に日常生活を送ろうとしてしまいます。

そういった中でこのような自己嫌悪や自己否定感は徐々に強まっていき、自分の人生や世の中に対しても絶望的な気持ちになっていきます。そしてその状態のまま時間が過ぎていくと、「生きていても仕方ない」「みんなに迷惑をかけるだけの自分は死んだほうがましだ」と自殺が頭をよぎるようになってしまうこともあります。

うつ病が疑われる人のこころの状態は、健康な時に感じる「落ち込み」や「疲れ」のように少し休めば復活する状態ではなく、容易に回復ができないほど追い詰められた状態にあるのです。

家族にうつ病の疑いがある時の適切な対応とは

見るからに辛い状況にある本人に対して、家族としてどのように対応したら良いかわからず、頭を抱えることがあるのではないでしょうか。ここでは、適切な対応について、3つのポイントに絞ってお伝えします。

1.話によく耳を傾ける

自分自身の経験から想像を膨らませて話を聞くのではなく、本人が置かれている状況と本人の気持ちに焦点を当てて想像しながら話を聞くことを意識して対応してみてください。ご自身の経験から想像を膨らませて話を聞いていると、つい【批判・否定】【励まし】【解決策】を口にしてしまいがちです。これらの対応は、本人の辛い心情を受け止めずにこちらの考えを伝えてしまっている状況です。「心配しているよ」「いつでも話を聞くよ」そういった想いを伝えて、いったん受け止めてあげてください。

2.本人がゆっくり安心して過ごせる環境を整える

以前は活動的であった人でも、自宅で過ごす時間が増えると思います。言い換えると、外に出掛けられる状態ではないということです。本人が自宅でゆっくりと過ごせる環境をまずは整えましょう。本人に対して「今はゆっくり休んでいいんだよ」というメッセージを伝えてあげてください。ただし、気を使いすぎて今まではやらなかった対応を取ったりすると、反ってゆっくりできなくなってしまいます。家族は本人のことを少し気にかけながら、いつも通りの生活を送ることを心掛けてください。

3.家族が感情的に巻き込まれない

家族にうつ病が疑われる人がいると、家庭内もエネルギーが低下した雰囲気になってしまうことがあります。また、症状としてのイライラや焦りをぶつけられるとそれに対して感情的に反応したくなってしまうこともあると思います。そんな時は、あくまでうつ病の症状であると理解し、本人のイライラや焦りを否定せずに受け止めてあげるようにしましょう。家族が感情的に巻き込まれて感情的に反応してしまうと、本人の中に「家族にさえ理解されなかった」という思いや家族に対する申し訳なさが募ってしまいます。そのため、感情的に巻き込まれて同じようにイライラや焦りを感じたり、落ち込んだりしないように心がけましょう。そのためには、家族自身が気分転換をしっかり行い、精神的にゆとりをもつことが大事です。

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家族の方は要チェック 
うつ病の主な症状やサインのチェックポイント

うつ病になると、何かしらの症状が現れます。ここでは、心の症状と、身体の症状の2つに分けて、うつ病のサインを紹介します。

心の症状

  • 抑うつ感:喜怒哀楽を表現しなくなる、落ち込んでいる。

 例)家族で話をしていても、テレビを観ていても笑わない。ボーッとしている。

  • 注意力、思考力の低下:集中できていない。決断ができない。

 例)家族の話を理解できない。朝着る洋服を決めるのに時間がかかる。

  • 意欲の低下:物事を楽しめていない。

 例)今まで好きだった趣味に取り組まなくなった。休みの日はずっと寝ている。友達と会わなくなった。身なりが乱れている。お風呂や食事など何をするにも時間がかかる。

  • 感情の変化:不安感が強い。

 例)焦りや不安を訴える。涙もろくなる。イライラする。(不安感がイライラに繋がることも実は多い)

身体の症状

  • 不眠:睡眠がしっかりとれていない。

 例)布団に入っても寝付けずにいる。夜中に何度も起きる。早朝に目が覚めている。

  • 食欲の異常:いつもの食欲ではない。

 例)「お腹が空いた」と食事を求めなくなった。「味がしない」と訴える。「美味しい」と言わなくなった。食べる量が減った、または増えた。

  • 体重減少:以前より痩せたように見える。

 例)顔が痩せこけてきた。洋服のサイズが大きく見える。

  • 疲労感:慢性的に疲れている。

 例)休みの日に活動しなくなった、自宅でゴロゴロしていることが増えた。疲労感をたびたび訴える。

うつ病には他にも色々と見えにくい症状がありますが、上記のように普段とは異なる心の症状と身体の症状に気付いたら、「もしかしたら、うつ病かもしれない」と様子を気にかけてみましょう。

こんな時どうする?本人が精神科や心療内科の受診を拒否したり、病気の可能性を否定する場合

本人の状態を心配して家族が医療機関の受診を提案しても、自分では症状の自覚がなかったり、病院の受診を拒否されることもあると思います。抵抗感を示すどころか「うつ病ではない!」と病気の可能性を否定することもあると思います。こういった場合、家族はどのように対応したら良いのでしょうか。

1.だまし討ちや無理矢理の受診は避ける

受診に際して決して行ってはいけないことは、だまし討ちをして医療機関へ連れて行くことや、本人の意志を無視して無理矢理連れて行くことです。いずれの場合も本人を助けたいという思いは同じですが、家族関係を悪化させる可能性があります。また、うつ病の治療のための通院は定期的かつ継続的に行われる必要があるため、本人がある程度納得して通院できることが大切です。

2.家族が感じている本人の変化を伝える

本人がうつ病を否定した際は、家族として感じている本人の心の症状や身体の症状について伝えましょう。例えば「ここのところ元気がないようだし、ちょっと痩せたように思うんだよね」「最近あまり眠れてないみたいだから、睡眠のことを相談しに行ってみようよ」など、家族として率直に感じている心配なことを伝えてみてください。本人がそういった自分の変化には気付いていなければ助けになる可能性があります。また、もしかしたら本人から「大丈夫」という返答があるかもしれませんが、そういった場合は何日か時間をおいてからまた声をかけてみてください。

3.本人が感じている抵抗感について具体的に聞く

本人が受診に抵抗感を示した場合には、その理由を聞いてみてください。本人がなぜ受診に抵抗しているのかを知ることによって、その後の家族の対応は変わってきます。例えば「精神科や心療内科に行くと薬漬けにされるのではないか」という不安がある場合、薬物治療を最小限で行うことを目指しているクリニックを探して提案することができると思います。「なんとなく精神科って怖い」と思っている場合は、まずは家族が医療機関を受診して病院や主治医の雰囲気について本人に伝えることができると思います。あるいは、家族が一緒に受診することでその怖さは解消されるかもしれません。本人の抵抗感が軽減されるように、その抵抗感について具体的に聞き、解消して、本人が安心感をもって受診できるよう話し合いましょう。 

うつ病を支える家族も大変…相談先はこちら

うつ病の本人を支えていくことは、家族にとっても精神的にとても大変なことです。家族が抱え込むことなく心のゆとりや安心感を持って本人をサポートしていくためには、家族自身が相談する相手を見つけておくことも大切です。誰に相談したら良いかわからないという方は、以下のサイトを参照してみてください。

こころの健康相談統一ダイヤル
厚生労働省のサイトです。電話をかけると所在地の公的な相談支援機関につながるようになっています。

こころの耳

厚生労働省のサイトです。「家族の方へ」というコンテンツもありますし、メール相談窓口もあります。

よりそいホットライン

一般社団法人社会的包摂サポートセンターが運営しています。

また、お住まいの地域に保健センターや保健所がありますので、そちらで相談してみるのも良いでしょう。地域住民の心や身体の健康について相談に乗ってくれます。地域のクリニックに関する情報を持っているため、うつ病の方を支える家族の相談を受けてくれるクリニックがないか、聞いてみると良いと思います。

うつ病の人を家族で抱えていくことはとても大変なことですが、一方でなかなか周囲に打ち明けられないこともあります。また、うつ病は短期間で治る病気ではないため、家族が抱え込んで共倒れとならないよう気をつける必要があります。ご家族自身も周囲にサポートを受けながら、うつ病の家族を継続的に支えて行けるようにしましょう。

さいごに

リヴァでは、過去にうつ病の方を支えられる家族の方向けのイベントなども実施しています。その際の活動レポートがありますので、そちらもご参考いただければと思います。

また、うつ病とは少し違いますが、双極性障害当事者の弊社スタッフをいつも支えてくれている奥様目線でのエピソードを漫画にしてみましたので、そちらもご参考ください。

 

身近な存在である家族だからこそ、うつ病が疑われる状態に早期に気づきサポートをすることができます。うつ病は誰でもなる可能性があるものですが、治療を適切に行いサポートができれば、元の元気な状態を取り戻すこともできます。もし家族の誰かにうつ病を疑うサインが見られたら、治療へとつなげるとともに、家族も周囲のサポートを得ながら生活する中で、できる限り本人のサポートを行えると良いでしょう。時間はかかるかもしれませんが、回復に向けてじっくりと家族で取り組んで行ってください。

リヴァマガでは、うつ病からの回復に関する情報や、公的な経済面のサポートの情報、過去にうつ病になった方の体験談など、お役立ち情報を発信しています。特にこのページへ訪れた方はまだうつ病のことを調べ始めて間もない方が多いと思いますので、「お役立ちカテゴリ」をチェックして頂ければと思います。)

リヴァで行っているサービスについて

リヴァでは「リヴァトレ」という職場復帰支援(リワーク)を行っており、職場へ通勤するようにセンターへ通いながら、よりよい復職・再就職を目指すトレーニングをすることができます。

主治医から復職の許可が下りても、すぐに職場に復帰したり、あるいは就職活動をするのは不安であったり難しく感じられる方もいるでしょう。体調が回復し今後の生活やキャリアについて考える余裕が生まれた段階で、一度相談してみるのはいかがでしょうか。

また、センターへは週2日から通所可能なので、完全に回復していない方でも少しずつトレーニングをすることができます。

特に以下の方にお勧めです。

  • 働くための生活リズムを整えたい方
  • 服薬と休養以外のストレス対処法を身に付けたい方
  • 職場で働く力の回復・向上を目指したい方
  • 働き方・生き方の再構築をしたい方

センターの無料見学・体験も可能です。また『よくある質問』についてもまとめておりますので、ご参考ください。
(参考:リヴァトレ よくあるご質問

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大倉 愛由
この記事の監修
大倉 愛由 株式会社リヴァ 精神保健福祉士/産業カウンセラー試験合格

大学で臨床心理学を専攻したのち、都内の精神科クリニックの相談員や行政での生活保護業務など様々な領域を経験している。株式会社リヴァに入社後は、生活訓練・就労移行支援のどちらにも携わり、心理系プログラムを中心にサービス提供を行っている。

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