うつ発症から復職まで「3つの段階フェーズと、その過ごし方のポイント」

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うつ病で症状が重い時期などは「このまま回復しないのではないか」と不安に思うことがよくあります。また、症状が落ち着いてくると今度は「早く復職しよう」と焦って急に活動量を増やしてしまい、かえって体調の悪化を招く方も珍しくありません。
そうした様々な局面で的確な判断や行動をするためにも、休職をしてから復職するまで、どのタイミングの段階で何をすればいいのか、イメージを掴んでおくとよいでしょう。この記事では復職までの標準的な流れを、それぞれの時期に分けて説明します。

改めてうつ病とは

今回の記事は、うつ病の症状が強く表れ休職し、そこから復職するまでに、どのタイミングの段階で何をすればいいか、その各段階ごとの過ごし方のイメージを膨らませるための内容を書きまとめています。ですが、そもそもなぜそのイメージを掴んでおくことが大切なのでしょうか。その理由に触れるため、改めてうつ病のことを要点を抑えて簡潔に整理します。

うつ病とは

うつ病とは、脳内のホルモンバランスの乱れや、気分に関わる神経伝達物質のセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなどが正常に機能しないことが原因(という説が現在では最有力)となり、不安や落ち込み、不眠、食欲不全、自傷行為など、職場や自宅などでの生活を送ることが困難になるような症状が現れてしまう脳の病気のことを差します。

うつ病の再発率は60%以上

うつ病は一度回復してしまえば再発しないと思っている方もいるかもしれません。しかし、厚生労働省の報告によれば、うつ病から回復しても60%の人は再発すると言われています。

さらに、2度罹患するとその後の再発率は70%、3度罹患するとその後の再発率は90%と、再発率が高くなっていくと報告されています。つまり、うつ病にかかってしまった方の2度目の再発を繰り返さないことが大変重要なのです。

回復までの各段階の過ごし方が重要

再発の主な原因の一つが自己判断による通院の中断です。「これだけ調子が良いんだからもう通院する必要ないんじゃないかな」と考え、取り戻した生活の中で通院の優先順位が低下してしまうのです。そういったことが起こらないよう、うつ病の発症や休職から復職するまでに、どのタイミングの段階で何をすればいいのか、前もってイメージを掴んでおくことが大切です。

(参考:うつ病の再発率が60%って本当!?再発予防に欠かせない3つの対策とは

全体像:休職から復職までにどういった段階があるか

各フェーズについて説明する前に、まずは下の図をご覧ください。

うつ病の発症は、本人ではなく、職場の同僚や家族などが異変や症状に気付いて発覚することもあるようです。本人が気付く場合は限界まで頑張ってしまい、力尽きるような形で休職に入る方もいます。

発症してからしばらくの間は、症状が重く、何も出来ないような状況が続きます。この時期を「急性期」といいます。

その後、休養や治療を経て徐々に症状が安定してくると自宅でテレビを見たり、軽い外出をするなど、負荷の軽い行動が出来るようになってきます。これを「回復期」といいますが、「そろそろ会社に戻りたい」と思い始めるようになるのもこの頃です。

そうしてある程度体調が安定してきたら「リハビリ通勤」など、復職に向けた準備を行う「直前期」を迎え、いよいよ復職へ。おおまかにいうと、このような流れになります。 

それでは、各段階における過ごし方のポイントやゴールイメージについてご紹介します。

「急性期」の過ごし方やポイント

この時期に大切なのは、とにかく休むこと。そして、主治医の指導のもとで療養と服薬をするのが基本となります。薬については以下の記事も参考にしてください。
(参考:種類、効果、副作用、止める際のポイント…産業医が教える「抗うつ薬」の基礎知識

薬の効果が出てくるのは、服薬開始から2~3週間後といわれます。下図のように、効果よりも副作用が最初に表れる場合が多いのですが、たいてい徐々に身体が慣れていくものなので、自身の判断で勝手に服薬をやめるのは避けましょう。薬の効果や副作用について悩んだ場合、まずは主治医に相談することをおすすめします。

 


主治医へ相談される際は、手帳や簡単な日記などをつけて、心身の変調を具体的に記録し、医師に共有しながら相談してみましょう。
(参考:「診察の時に上手く話せない…」心療内科・精神科で診察を受ける時に医者に話しておきたい5つのポイント

また、生活記録表をつけてみることもおすすめです。 最初は書ける範囲で構いません。備考欄に日々の症状や薬の副作用について記入するだけでも十分です。

多少症状が安定するようになってきたら、自分が「どんな時に調子が上向くのか」をしっかりと分析してみましょう。そして気持ちが楽になる行動が見つかれば、習慣として生活の中に組み込むことがポイントです。 

生活記録表をつけることのメリットをまとめます。

 


生活記録表をつけることを最初は大変だと感じるかもしれませんが、自分の状態を把握するのにとてもいい手段です。 

この段階では、下記のようなものをゴールとしてイメージするとよいでしょう。


急性期の活動は、自分ができる(やろう)と思っている水準の3割程度からスタートするようにしましょう。

「回復期」の過ごし方やポイント

「早く職場に戻らなければ」という焦りを感じやすくなる時期です。しかし、心身が回復してきて、日常生活を問題なく送れるようになってはいても、休職前のように職場での仕事をこなすにはまだ高い“階段”が待ち受けている状態といえるでしょう。

そうした階段を上りやすくするのが、リワークなどの復職支援サービスになります。リワークをご存じでない方は、以下の記事をご確認ください。
(参考:リワークとは何?リワークの意味や効果、具体的な内容(利用料金や手続き)などについて

こうしたサービスを利用することにより、職場のような「ストレスがかかりやすい状態」での対処法を身に付けることが期待できます。決まった場所に毎日通うだけでも、体力を取り戻すことや生活リズムを整えることに役立つでしょう。

会社で働いていた時に、自分が何をストレスに感じていたか、そのストレスをどうすれば克服できるかを振り返り、対策を検討してみることも役に立つはずです。

ストレスについて振り返る中で、自分の思考や考え方のクセに目を向けてみるのも良いでしょう。会社を離れて少し自分を客観視してみながら、出来る範囲で少しずつ自分を振り返ってみましょう。

残念ながら「リワーク施設が近くにない」「行きたいと思えるところがない」という場合でも、復職に向けて取り組めることがあります。

 

 

 

上の図にあるように、自宅や図書館、地域の施設などで体力づくりやデスクワークなどを行うことで、日常生活と仕事のギャップを埋めていくことができます。自分のコンディションと相談して、できる範囲から始めていきましょう。

回復期におすすめしたい活動のポイントは以下の通りです。

この時期は「調子が良くなってきた」と思っても、些細なことで体調がアップダウンすることがあります。せっかく良くなったのに…と落込むかもしれませんが、活動を通じてストレスをかけているので、当然の反応ともいえます。仕事に復帰する上で誰もが経験することですから、悩む必要はありません。主治医やリワークのスタッフの意見も参考にしながら取り組んでいきましょう。 

この段階のゴールとしては、以下のようなことをイメージしてください。

「直前期」の過ごし方やポイント

 復職に向けた準備が整ってきたら、いよいよ仕上げとなります。会社で「通勤訓練」や「試し出勤」などの制度が用意されている場合は利用するとよいでしょう。人目などが気になるかもしれませんが、それもまたトレーニングの一環です。

直前期で大切なことは、これまでの自分を振返り、回復期に取り組んだことを自分なりに整理することです。

復職時に産業医との面談がある企業も多いと思いますが、背伸びをせずに、自分が回復期から取り組んできたこと、直前期にまとめたことなどを、話しましょう。

 この段階のゴールは、試し出勤や通勤訓練をクリアすること(会社に制度がある場合)、そしてこれまでの取り組みを整理することです。

最後に

復職をする場合は「なぜその会社に復職するのか」もう一度考えてみるのも大切なことです。「復職期限が迫っているから」「生活があるから」と考えると復職だけがゴールのように思えるでしょうが、復職は再スタートでもあります。スタート位置の選択肢は、何もその会社だけではありません。

「自分には他に選択肢なんてない」と思うかもしれません。「家族やローンのことを考えると、復職以外の可能性を考えることは難しい」と思う方もいるでしょう。

しかし、休んでいる期間を活かして、興味のあった仕事について調べたり、他の人の話を聞くなど、視野を広げるためにできることはあるはずです。「自分の視野が狭くなっていないか」確認出来るだけでも有意義なことです。色々な選択肢や可能性を探り、その上で自分自身が復職を選択したということが大切です。

復職後は、いくら準備をしていたとしても大変なことは起こります。仕方なく復職したという感覚でそうした場面と向き合うことを避ける意味でも、休職期間は“大きなチャンス”と捉えて、うまく活用してみてください。弊社ではそういった考え方の元、復職プログラムをご用意しています。

(参考:リヴァトレが理想とする「リワーク」の形。その“2つのポイント”についてご紹介します。

 

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この記事を書いた人
伊藤 崇 株式会社リヴァ 代表取締役

1978年宮城県生まれ。大手システム会社でエンジニアとして勤務後、障害者就労支援会社に転職。多くのうつ病患者を生み出す企業や社会への疑問と関心から2010年8月にリヴァを設立、現在に至る。

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