適応障害による休職の伝え方|上司が原因と考えられる場合の相談先も解説

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「上司が原因で適応障害に。休職したいがどう伝えたらいいか分からない」と不安に感じていませんか?

本来、休職の意向を伝える場合は、直属の上司に伝えるのが一般的です。しかし、その上司自身がストレスの原因と考えられる場合、直接伝えることは強い苦痛を伴うこともあります。

ですが上司以外にも、相談先やサポートしてくれる窓口は存在します。

本記事では、上司への伝え方の他、上司以外の相談先、休職中の過ごし方などについて詳しく解説しますので、参考にしてみてください。

一人で悩まない ストレスによる適応障害

適応障害とは、何らかのストレス(ある生活の変化や出来事)を原因として、抑うつ気分や不安、心配が強くなり、これまでの環境での生活を送ることが難しくなってしまった状態のことをいいます 。

適応障害によくみられる症状には、次のようなものが挙げられます。

<情緒面の症状>
不安、抑うつ、焦燥、過敏、混乱、緊張など

<身体面の症状>
不眠、食欲不振、動悸、全身倦怠感、疲れやすい、頭痛、肩こり、腹痛、吐き気、めまいなど

<行動面の症状>
遅刻、欠勤、早退、過剰飲酒、ギャンブル中毒など

以上となります。適応障害はストレスを原因として発症するため、上司とのコミュニケーションがうまく取れないことがきっかけとなる場合も少なくありません。

具体的には、以下の例があります。

  • 達成が難しいノルマや重い責任を一人で抱え込む職場環境
  • 上司との関係悪化や職場での孤立
  • 上司からの暴言・威圧・無視などのパワーハラスメント
  • 性的な言動や不快な接触によるセクシャルハラスメント


上司との関係性が引き金だと、主治医から「休職が必要」と書かれた診断書を渡されても、すぐに会社へ打ち明けるのは難しいと感じる方もいるかもしれません。

ただし、休職の意向を伝えないまま出勤を続けると、症状がさらに悪化するリスクがあるため、早めに伝えることをおすすめします。

次の章では、休職する場合の会社への伝え方と、ポイントを解説します。

「休職したい」上司へ伝える手段

適応障害と診断された際、会社への伝え方に悩む方も多いかと思います。ここでは、対面・電話・メールなど、状況に合わせた伝え方を解説します。

直属の上司に対面で伝える場合

適応障害で休職する場合は、まず直属の上司に報告するのが一般的です。上司との関係性が問題ないのであれば、最初は上司に相談しましょう。

出社して「何と言って切り出せばよいか」と緊張する方も多いですが、事前に伝える内容を整理しておくと、話しやすくなります

(例)
「折り入ってご相談があります。最近、体調がすぐれない日が続いており、医師に相談したところ適応障害と診断されました。

医師から休養を勧められており、休職させていただきたいと考えております。

ご迷惑をおかけしますが、どうかご理解いただけますと幸いです。手続きについて、ご指示いただけますでしょうか」

上記は一例となります。上司から追加の質問をされる場合もあるため、以下の内容にも答えられるようにしておくと安心です。

  • 休職する理由:どんな症状が出ているのか
  • 業務の引き継ぎ:現在担当している業務の状況と引き継ぎ先


上司が理由で適応障害になっている場合は、直接伝えることがさらなるストレスになることもあります。その場合は、人事部や産業医などの別の窓口を利用しましょう。詳しい方法についてはこちらで解説しています。

また、面談の際には休職手続きについても確認しておきましょう。診断書の提出方法や、有給休暇・傷病手当金の申請手順など、不明点をその場で聞いておくとスムーズです。

電話で伝える場合

症状が重く、起き上がることができない場合は、上司に電話で伝える方法もあります。電話では、要点を簡潔に伝えることが大切です。

(例)
「〇〇さん(上司の名前)、××です。今、少しお時間よろしいでしょうか。

実は、ここ数日体調が優れず、出社が難しい状況が続いています。昨日、心療内科を受診したところ、適応障害と診断されました。

医師からも、しばらく休養が必要とのことで、休職を指示されました。そのため休職させていただきたいと考えています。

診断書は後日提出致します。引き継ぎや手続きについては、メールで改めてご連絡してもよろしいでしょうか。

ご迷惑をおかけして大変申し訳ありませんが、どうかよろしくお願いいたします」

また電話で上司とやり取りをする中で、以下のような重要事項が出てくることがあります。

  • 休職の開始日・終了日
  • 診断書の提出先・提出期限
  • 傷病手当金などの手続き方法


電話は記録が残らないため、通話中はメモを取っておきましょう
。電話を切った後に「先ほどのお電話の件ですが、〇〇という認識でよろしいでしょうか」とメールを送って確認しておくとさらに安心です。

メールで伝える場合

対面や電話も困難な場合は、メールで伝える方法もあります。メールの場合でも要点をまとめて、簡潔に書くことがポイントです。

(例)
「件名:休職のご相談(〇〇部 氏名)

〇〇さん(上司の名前)

お疲れ様です。××です。
本来であれば直接ご相談すべきところ、体調不良によりメールでのご連絡となりましたこと、お詫び申し上げます。

実は、ここ数日体調が優れない日が続いており、先日心療内科を受診したところ、適応障害と診断されました。医師からも、しばらく休養が必要とのことで、休職させていただきたいと考えております。

診断書は後日提出させていただきます。引き継ぎや手続きについては、ご指示いただけますと幸いです。

ご迷惑をおかけして大変申し訳ありませんが、どうかよろしくお願いいたします。

××(氏名)

以上となります。メールは文章として記録が残るメリットがあります。上司と話すこと自体が強いストレスである場合は、まずはメールで休職の意思と診断書がある事実を伝え、その後の細かい手続きは人事部などを挟んで進めていくと心身の負担を減らせます。

休職期間を聞かれた場合

休職期間を聞かれた場合は、診断書に書かれている内容をそのままに答えましょう。ただし、症状の程度や回復状況によっては、主治医の判断により休職期間の延長が必要になる場合もあります。

そのため、「現時点では◯ヶ月の休養が必要と記載されていますが、回復状況によっては延長する可能性もあると医師から説明を受けています」と、幅を持たせた伝え方がおすすめです。

もし、回復が遅れた場合でも改めて相談しやすくなります。

上司以外の相談先

ここまで上司に直接連絡を取る手段を中心に解説しましたが、そもそも、その上司自体が自身のストレスの原因という場合は連絡することさえ大きな負担になると考えられます。

休職に関する相談先は、上司だけではありません。主治医・人事部・産業医・社内相談窓口など役割はさまざまです。自分の状況に応じた適切な窓口を選ぶことが大切です。

主治医

適応障害は思考や判断力にも影響を与える疾患であるため、ご自分だけで考えるのではなく、主治医の意見や判断を主に参考にするのが望ましい対処です。

特に適応障害の症状が重いと、自分自身や状況に対して、実際よりも否定的な感情になりやすい傾向があります。例えば、「仕事を辞めたい」「もう終わりだ」と感じやすくなりますが、その判断が正確とは限りません。

適応障害の原因が上司との関係にある場合でも、すぐに退職を決めるのは避けましょう。主治医のアドバイスを受けながら、休職・異動・復職などの選択肢を落ち着いて考えることが大切です。

人事部

会社に休職のことを伝えたいが、上司には相談しづらい場合は、先に人事部に相談しましょう。

人事部はうつ病や適応障害などメンタル不調者への対応や、休職の手続きを担当する部署です。そのため、相談窓口としても機能します。

人事部に相談すると、以下のようなサポートをしてくれます。

  • 医療機関の受診を促してくれる
  • 産業医・上司との面談を調整
  • 業務量・業務内容を調整


上司に相談しづらいと感じている場合でも、一人で抱え込まず、まず相談してみましょう。悩みを話すだけでも、何をすればいいか次のステップが見えてきます。

産業医

産業医とは、企業において労働者が健康で快適な作業環境のもとで仕事が行えるよう、専門的立場から指導・助言を行う医師のことです。

病院に行くべきか迷っている段階で、まずは産業医に体調を相談し、受診の背中を押してもらうのも有効な方法です 。

ただし、産業医は「従業員50人以上の事業所」では設置することが義務づけられていますが、「50人未満の中小企業等」では任意です。会社に産業医が設置されているかどうかをまずはご確認ください。

社内の相談窓口

人事部や産業医に相談するのが難しいと感じる場合は、「その他の社内の相談窓口」に連絡する方法もあります。社内の情報を確認してみましょう。

社内の相談窓口で受け付けている相談は、メンタルヘルスだけでなく、人間関係のトラブル、パワハラなど幅広く受け付けています

社内の相談窓口は、2022年4月のパワハラ防止法施行により、中小企業を含むすべての事業者で設置が義務付けられました。

窓口の設置場所や連絡先は、会社のリーフレットや社内ポータルサイトなどで確認できるため、探してみましょう。

休職中の過ごし方 スムーズな復職への5つのポイント

休職に入った後は、回復に向けた過ごし方が重要になってきます。回復の段階に分け、5つのポイントを解説します。

休職直後|適応障害の原因と考えられるストレス源から離れる

適応障害で休職する場合は、十分な休息を取ることが必要です。適応障害の特徴として「特定のストレスが原因で発症する」ことが挙げられるため、休職中はストレス原因から十分に距離を取ることが必要になります。

休職し始めると、「自分が休んで迷惑をかけては、職場の仲間に申し訳ない」「休職中に何かをしなければ」と不安や焦る気持ちも出てくるかと思います。

しかし、休職期間中に焦って無理に動こうとすると、さらなる体調悪化につながり、休職期間が延びてしまうリスクや、復職後に適応障害が再発・再休職するリスクが高くなります。

主治医や産業医が休職を判断しているということは、十分休息を取って治療に専念する必要性があるということです。

まずは「休むことに集中すること」を心がけ、体への負担を減らし、仕事や家事、その他不安やストレスになることからも可能な限り距離を置いて心を休めましょう。

休職中に受けられる経済的支援

休職する際、金銭的な不安を持つ方も多いと思います。以下の記事では、休職中でも利用できる傷病手当金について紹介しています。

制度について知っておくことで、お金の不安を減らし、療養に専念することができます。

調子が良くても|治療を自己判断でやめない

病院には定期的に通院し、治療を受けましょう。適応障害は、原因となったストレスから離れることで比較的早期に回復するといわれていますが、「調子が良いから大丈夫」と自己判断で治療や通院を中止してしまうと、再発のリスクとなります。

適応障害の治療には薬物療法が用いられることもありますが、薬は飲み始めた後から効果が出るまで多少の時間がかかるとされています。すぐに薬の効き目が感じられず不安になっても、自己判断で服薬をやめたり減らしたりせず、まずは指示通りに服薬を続けてください。

もし副作用が強い場合は、早めに主治医に相談しましょう。「少しつらいかも」という感情も、カウンセラーや主治医に率直に話すことが大切です。

また、治療を進めていくと、体調がよくなったり悪くなったりといった波が見られるようになります。一見、症状が落ち着いてきたように見えたとしても、一時的な回復である可能性があるので、そのタイミングで急に活動量を増やしたり、治療を中止したりせずに、主治医と相談のうえで治療を継続しましょう。

調子が安定してきたら|1日の生活リズムを整える

ある程度心と体の調子が安定してきたら、復職の準備に入るため、主治医と相談しつつ徐々に活動を増やしていくことが大事になってきます。

ただし、安定してきたからといって活動量を急に増やすのではなく、段階的に負荷を上げていきましょう。

例えば、運動する場合でもまずは10分の散歩からはじめ、慣れてきたら20分、30分と時間を増やし負荷を上げていくのです。

休職前の活動量に戻していく中で、ご自身の「生活リズムの記録」を取り始めるようにすると、後から活動を振り返る際に役に立ちます。生活リズムの記録とは、起床・就寝時間や食事時間、その他1日をどう過ごしたかを、手帳や表に記録することです。

記録は、体調が安定し始めてきて、毎日記録をつけることに負担を感じなくなってきたタイミングで始めるようにしてみてください。スマホやメモ帳、手帳など、使いやすい記録手段で書いていただくのが良いでしょう。

このような日常生活の記録を取ることで、体調悪化のサインに気付きやすくなったり、回復までの変化を把握しやすくなったりします。記録した情報は、自分の体調管理に役立つだけでなく、主治医や職場に回復状況を伝えるときの参考資料にもなります。

復職直前|主治医と復職のタイミングを相談する

体調が安定してきたら、主治医と相談しながら復職に向けた具体的な準備を進めましょう。

復帰の目安として、以下のような判断基準が挙げられます。事前にチェックしておくと、ご自身の復職までに必要な準備も分かってくるかと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

【復帰判断のチェックリスト】

  • 復職の意思が十分にある。
  • 通勤訓練を行い、通勤時間に自宅から会社に移動することに無理がない。
  • 決まった勤務日・時間に就労できる(または就労と同じくらいの負荷の活動を継続できている)。
  • 作業による疲れを、翌日までに十分回復できている。
  • 生活リズムについて、仕事をしているときと同じスケジュールで過ごすことができ、かつ安定している。
  • 睡眠と食事のリズムが安定しており、十分に取れている。
  • 注意力・集中力が十分に回復している。


準備が整ったら、主治医と具体的な復帰時期について話し合いましょう。

主治医に復職可能であると判断されたら、「職場復帰可能」の旨が書かれた診断書(意見書)を作成してもらい、勤務先に連絡をしましょう。復帰にあたっての配慮事項などがあれば、診断書を出してもらう際に記載してもらうようにしましょう。

再休職を防ぐために|産業医や人事部と面談をする

勤務先に主治医の見解を伝え、「職場復帰したい」と伝えると、職場復帰面談が実施されます。この面談では、産業医以外にも人事部や上司が同席する場合もあります。

職場復帰面談の目的は、休職者が本当に働けるのか見極めるためです。本人の復職意欲とは裏腹に心身の回復が不十分であったり、復職直後から負荷の高い業務を担当したりすると、再発するリスクがあるからです。

職場復帰面談で「復職可能」と判断されたら、復職日を決めて職場復帰となります。この面談では、配慮をお願いしたい点や希望する働き方を、人事担当者に伝えることも可能です。

特に配慮事項については自身から伝えるよりも、診断書の内容に盛り込んでおけると、会社への説得力が強まります。

会社の方針によって対応できる範囲は異なりますが、復職後の不安を解消するためにも、勤務時間や業務内容について相談しておくことが大切です。

復職後、同じ上司の下で働くことに不安がある場合

上司との関係性が原因で休職した場合、復職するにしても同じ上司の下で働くことは強い不安を覚えることでしょう。ここでは、不安を抱えたまま復職しないための対処法を紹介します。

復職後の環境調整の相談をする

復職時の働き方や配属先に不安がある場合は、職場復帰面談で勤務時間や業務内容・配置などを本人の状態に合わせて調整してもらえないか相談しましょう。

特に直属の上司との関係性がネックとなる場合は、その上の位の上司や、人事部の担当者などと事前に話し合うのが重要です。

環境調整を行うことで、心身への負担を抑えながら働き続けられることは大きなメリットです。部署異動の調整を会社側に検討してもらうなど、納得のいくまで話し合いましょう。

その他、環境調整の例としては、以下のとおりです。

  • 一定期間の時短勤務
  • 一定期間の残業禁止
  • 部署異動
  • 人員配置の変更


ただし、すべての環境調整が受け入れられるわけではありません。特に、部署異動や人員配置の変更は、社内規則や組織のリソースの問題もあるため、注意しましょう。

1人で悩まず他の人に相談する

復職時に不安がある場合は、1人で悩まず誰かに相談しましょう。会社の同僚や家族、友人でも構いません。悩みを言葉にして話すことで、気持ちが楽になることもあります。

転職や退職を検討する

適応障害になった原因は人それぞれですが、無理に関係性の悪い上司と同じ職場に復帰した場合、再び体調が悪化する可能性もあります。

職場や仕事の変化が見込めない場合、転職や退職を検討してもよいかもしれません。

一方で、適応障害に至ったストレスと同種のストレスは、環境を変えても発生する可能性があります。

根本的な対処を学ぶには、社会復帰支援サービスである「リワーク」で対人コミュニケーションやストレス対処法などのトレーニングを受けるのも効果的です。

リワークにはいくつか種類がありますので、こちらの記事で詳しく解説しています。

適応障害の休職は相談先を決めて伝えよう

適応障害で休職を伝える際は、直属の上司への相談が一般的です。しかし、上司に相談できない場合は、人事部や産業医、社内の相談窓口などを頼る方法もあります。

休職中は「何かしなければ」と焦る気持ちも出てくるかと思いますが、まずはストレス源から離れて休養することが大切です。休職中に利用できる経済的支援も活用しながら、療養しましょう。

同じ職場への復帰に不安がある場合は、環境調整の相談も検討してみてください。

一人で抱え込まず、ご自身に合ったペースで復職を目指していただければと思います。

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この記事の監修
四谷 健太郎
株式会社リヴァ リヴァトレ事業部 生活支援員 臨床心理士/公認心理師1985年東京都生まれ。
世田谷区の教育相談員→民間企業の治験コーディネーターを経て、2021年に株式会社リヴァに入社。森田療法を基にした相談支援を行っている。趣味はコーヒーのハンドドリップ。

 

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