いま不安を和らげたい全ての人へ。著者と監修者(産業医)が語る『脱うつ 書くだけ30日ワーク』の活用法

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いま不安を和らげたい全ての人へ。著者と監修者(産業医)が語る『脱うつ 書くだけ30日ワーク』の活用法_01

緊急事態宣言の発令を受けて外出自粛を求められる中、自宅でも取り組める“うつ対策本”として『メンタル不調者のための 脱うつ 書くだけ30日ワーク』(日本能率協会マネジメントセンター/以下、『30日ワーク』)が注目を集めています。この本の「効果的な活用法」や「外出自粛中の過ごし方」について著者・長谷川亮(写真右/リヴァトレスタッフ)と、監修者を務められた産業医・佐々木規夫先生(同左/東京中央産業医事務所)に聞きました。

※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、インタビューはマスクを着用して行いました。

◆佐々木規夫先生 (東京中央産業医事務所)
産業医、精神科医。産業医科大学医学部医学科卒。東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医および健康推進グループ統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は、精神科医として勤務する傍ら、上場企業や主要官庁の産業医を兼務。北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場のコミュニケーション、組織公平性に関する研究や教育を行っている
◆長谷川亮(株式会社リヴァ)
公認心理師、キャリアコンサルタント。大学院修士課程修了後、ライフサイエンス業界の企業にて技術営業や製品プロモーションを担当。メンタル不調による休職を経て、支援職に転身。リヴァトレのセンター長も経験し、メンタル不調を原因とした離職者の社会復帰支援に携わっている。

出版のきっかけ

リヴァトレのメソッドをより多くの人に

――『30日ワーク』を出版したきっかけの一つは、佐々木先生のご提案だったそうですね。

佐々木 産業医として働く中で、うつによる休職者が復職後、再び休職してしまうケースを数多く見てきました。そうした人の中には、結果的に休職期間が長くなり、退職を余儀なくされる方も少なくないんですね。

長谷川 復職を望んでいたご本人にとって、本当につらいことだと思います。

佐々木 復職には「復職するための準備」が必要ですが、病院やクリニックは忙しく、そのような時間の確保は現実的ではないです。そのため、何か復職をサポートする仕組みが必要で、リワーク施設はその役割を担ってくれています。ただ自宅近くにリワーク施設が無い方も多いので「再休職を防ぐには、自分でできる復職に向けた助けになるツールが必要ではないか」と考えていました。

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長谷川 症状が回復したからといって、考え方やコミュニケーションのスタイルが変わらないまま同じ職場へ戻ったら、また似たような状況に陥りやすいですからね。

佐々木 その点、リヴァトレは復職に備えるためのよい支援を提供していますし、高い復職成功率を実現しています。だから「誰もが気軽に使えればいいな」と思うんですが、いまのところリヴァトレは都内と仙台にしかない(20204月現在)。それにリワークを利用して一通りのプログラムを終えるには、短くとも約3か月、利用までの手続きを含めると、さらに長い期間がかかることもあります。

長谷川 そうですね、中小企業だと休職期間が3か月しか認められていないという会社もあり、ご利用いただくのが難しい方もいます。

佐々木 そうした課題について、リヴァ代表の伊藤(崇)さんにご相談したところ、「リヴァトレのメソッドを本にまとめれば、より多くの人の復職に役立ててもらえるのではないか」というご提案をいただきました。

長谷川 「様々な事情でリヴァトレを利用できない人に対しても何かサービスを提供できないか」ということは私たちにとっても大きな課題でしたから、きっかけをくださった佐々木先生には本当に感謝しています。

『30日ワーク』の特長

「ストーリー形式」だからスラスラ読める

――『30日ワーク』について、改めて説明していただけますか?

長谷川 この本は「セルフチェックシート」や「ストレス対処法」など、リヴァトレで提供するプログラムをベースとする30のワークをご紹介するものです。ワークごとにシートや記入欄を設けているので、実際に書き込みながら使うことができます。

佐々木 長谷川さんは「1か月でやり遂げられるコンテンツ」とすることにこだわられていましたね。

長谷川 ええ、復職期限まで残り時間が短く、焦りを感じている人にも役立てていただけるものにしたくて。

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佐々木 私は、『30日ワーク』では様々な手法がバランスよく紹介されていると思います。特に、「生活リズムを取り戻す」「ストレスへの対処法を身に付ける」など、復職に向けた準備を、段階的に、計画的に行っていくことに意味があると考えています。

長谷川 生活リズムや体力の回復を目指す「week1」から、復職後の働き方をリアルに考えて準備する「week4」まで、少しずつステップアップしていける構成なので、無理なく取り組んでいただけるのではないでしょうか。

佐々木 また、どのワークも、復職を目指す主人公(サトルさん)とカウンセラー(赤木さん)との会話が導入となっている。これも大きな特長といえますね。

長谷川 「2人のセリフで大まかな内容を伝えて、解説文で補足する」というアイデアは、青木(弘達/リヴァ取締役)との打ち合わせで生まれたものです。当初は単にワークを並べる一般的なスタイルで書いていたのですが、正直に言って私自身、書いていてつまらなくなり、手が止まりがちで(苦笑)。でもストーリー形式にしてからは、スラスラと書き進めることができました。

佐々木 うつなどを患った方にとって、過去を振り返るワークなどはやや負担を感じるかもしれませんが、その工夫のおかげで、かなり読み進めやすくなっています。読者はサトルさんとともに、一歩ずつ成長していくような達成感を得られるではないでしょうか。

長谷川 リヴァトレの強みの一つは、うつなどを患った利用者さん同士が関わるグループワークにあると考えています。この本を読んでくださる皆さんにも、サトルさんのことを“一緒に復職を目指す仲間”のように捉えて「つらいのは自分一人じゃないんだ」と感じていただけたら嬉しいです。

おすすめのワーク

産業医と公認心理師の「おすすめのワーク」は?

佐々木 具体的な中身でいうと、体調を天気のように観察して箇条書きで記録する「コンディションシート」(P.82 11話 自分の「よい状態」「悪い状態」)や、復職後を想像してどんなことが起きるか心づもりをしておく「困りごと想定シート」(P.179 28話 復職後の「困りごと」を想定しておく)などは、復職してからも役に立つと思います。

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長谷川 私のおすすめは「復職のタイトルをつける」(P.175 27話 自分にとっての「復職」とは?)です。休職前に職場で嫌な思いをしたとすれば、そこへ戻ることはやっぱりつらいはず。でも復職に題名をつけることを通じて、改めてその意味を考え、客観的に捉え直すことができるのではないかと。これはとても“リヴァトレらしいワーク”だと自負しています。

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佐々木 巻末にある「マイサマリー」(P.186 30話 休職に至った経緯・再発予防のまとめ)では「自分の傾向」や「再発防止策」を記入できますが、これを“お守り”として携帯しておけば、職場で困ったときの支えになりますね。

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外出自粛期間の過ごし方アドバイス

不安軽減のコツは「書き出すこと」

――緊急事態宣言が発令されているいま(2020年4月)、感染するなど直接的な影響がなくても気持ちが落ち込む人が少なくないと思います。そんな時の過ごし方についてアドバイスを。

佐々木 自宅で過ごす時間が長くなり、普段より気分が沈みがちだったり、イライラするといった方もいらっしゃるでしょう。そのような方は「アクティブレスト」(積極的休養)に取り組まれるとよいのではないでしょうか。『30日ワーク』の中(P.60 7話 アクティブレストで心と身体をリフレッシュ)でも紹介していますが、これは安静・休養・睡眠などの静的休養法と違い、あえて活動することで精神的な鋭気を養うリフレッシュ法です。

長谷川 家の中でもできるヨガやストレッチなどは、外出自粛中にぴったりかもしれませんね。近頃は参考になる無料の動画などもたくさんありますし。

佐々木 バランスも重要ですね。映画や音楽鑑賞など1人で静かに楽しめること、オンラインで誰かと楽しめることも大切です。沈みがちな時は「気分を変えてから行動を起こそう」というのは意外と難しく、逆に行動を起こしてみると、気分も変わってくるものですから、ぜひ試していただきたい。

長谷川 こんな時期は「興味があったことを試してみるチャンス」でもありますよね。

佐々木 「自粛」と言われるとつい「気分まで落ち込ませてしまうこと」がありますが、決してそんな必要はありません。これを機に、自宅でもできる自分の気分が落ち着くことや気持ちが前向きになることを考え、改めて「アクティブレスト」の方法を書きだして整理するのもいいと思います。

『30日ワーク』でも思いや状況を書き出す手法がたくさん紹介されていますが、書き出すことで、不安を外に出す(外在化する)ことになります。それは心の整理にもつながります。そういう意味でこの本は、休職中の方に限らず、どなたにでも活用していただける1冊といえるでしょう。

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長谷川 実はリヴァトレに通っている利用者さんでも「復習に使いたいから」と『30日ワーク』を購入してくださる方がいるんですよ。すでに復職された方や、そうした方をサポートする人事担当者の方なども含めて、一人でも多くの方に手に取り、役立てていただければ幸いです。

佐々木 なかなか先の見えにくい苦しい時期ではありますが、それぞれに工夫をしながら、心身の健康を保っていきたいものですよね。

――ありがとうございました。

 

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この記事を書いた人
野村 京平 株式会社あどアシスト コピーライター

1977年三重県生まれ。銀行→広告会社→うつ(リヴァトレ利用)→広告制作会社(現在)。消費者のためになった広告コンクール、新聞広告賞、宣伝会議賞等を受賞。一児の父。

Web:https://www.ad-assist.co.jp/

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