うつ病の原因とは?症状を引き起こす要因や再発防止対策について解説

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「なぜこんなにつらいのか」「自分に何が起きているのか」――うつ病の渦中にいると、原因がわからず不安になることも少なくありません。

うつ病は、こころとからだの両方に影響する病気で、発症にはさまざまな要因が関係しています。この記事では、うつ病の基本的な症状から、発症に関わる主な要因、再発を防ぐためのセルフケアについて解説します。

ご自身の状態を理解する手がかりとして、ぜひ参考にしてください。

うつ病とは?

うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスなどをきっかけに、脳がうまく働かなくなっている状態です。

「一日中気分が落ち込んでいる」、「何をしても楽しめない」といった精神症状とともに、「不眠」、「食欲がない」、「疲れやすい」などの身体症状が現れ、日常生活に大きな支障が生じている場合、うつ病の可能性があります。

参照:こころの情報サイト「うつ病」

こちらの記事でもうつ病について詳しく解説しています。セルフチェックもありますので、参考にしてみてください。

うつ病の原因とは?


うつ病についての理解が進むなかで明らかになっているのは、「うつ病を引き起こす原因はひとつではない」ということです。

ある日突然、心が折れるようなつらい出来事が起きて発症するケースもありますが、それ以前からさまざまな要因が積み重なっていた――というケースも少なくありません。そのため、「原因」というより「要因」と考えるほうが、より実態に近いといえます。

ここでは、うつ病の主な要因について、それぞれ分けて見ていきましょう。

環境要因

うつ病のきっかけとして、最も大きく影響しやすいのが「環境要因」、つまり生活の中で起こるストレスの蓄積です。

私たちは日々、多くの出来事に囲まれて暮らしていますが、その中には心に深い影響を及ぼすものもあります。

たとえば、以下のようなことがうつ病発症の要因になることがあります。

  • 家族や親しい人との死別・離別
  • 仕事や財産、健康など「大切なもの」を失う経験
  • 職場や家庭での人間関係のトラブル
  • 昇進・降格、転職、引っ越し、結婚、妊娠などの生活環境の変化
  • 家庭内の役割変化や葛藤

 

人生の節目となるできごとは、必ずしも「悪いこと」でなくても、心に大きな負荷をかけます。それが少しずつ蓄積し、ある日限界を迎えてしまう……そんな形で発症することもあるのです。

性格傾向

うつ病の発症には、「性格的な傾向」も深く関係しています。

たとえば、こんな性格の方は、日々の生活で多くのエネルギーを消費しやすいと言われています。

  • 真面目で責任感が強い
  • 完璧を求める傾向がある
  • 几帳面で計画的
  • 物事にこだわりやすい(凝り性)
  • 他人の気持ちを優先し、自分を後回しにすることが多い

 

こうした方は周囲から信頼され、社会の中でも重宝されがちです。しかし、「こうあるべき」という気持ちが強く、無意識のうちに自分を追い込みやすい傾向もあります。

エネルギーを多く放出している状態が続いたり、努力が成果に結びつかない状況が長引いたりすると、心のエネルギーが枯渇してしまい、うつ病を引き起こすリスクが高まるおそれがあります。

身体的・遺伝的要因

うつ病の要因は、こころの中だけにあるわけではありません。からだの状態も、大きく影響していることがわかっています。

まず、「慢性的な身体疾患」がある場合、それ自体がストレスとなり、うつ病の発症リスクを高めることがあります。たとえば、

  • がん
  • 糖尿病
  • 慢性の痛みや持病

 

また、ホルモンの変化も影響することがあり、以下のようなタイミングで発症しやすくなるケースもあります。

  • 妊娠・出産前後
  • 更年期の時期

 

さらに、家族にうつ病を経験した人がいる場合、体質的に影響を受けやすいことも報告されています。ただし、遺伝だけですべてが決まるわけではなく、生活環境や性格、ストレスの状況などと組み合わさって発症するのが一般的です。

脳内の変化(神経伝達物質の働きの低下)

近年の研究によると、うつ病が発症しているときは、脳内の神経細胞が互いに情報を伝える働きにトラブルが起きていると考えられています。情報伝達を担っているのは「神経伝達物質」と呼ばれる物質で、その中でも特に重要なのが次の2つです。

  • セロトニン
  • ノルアドレナリン

 

これらは、感情や意欲、睡眠、食欲などに関わる情報を脳内で伝える役割を果たしています。

環境や性格、身体の変化など、さまざまな要因によってこの伝達機能がうまく働かなくなると、気分が沈んだり、何もやる気が出なくなったりといった、うつ病の症状があらわれやすくなるのです。

参考:こころの耳「うつ病の主な症状と原因」

自分のうつ症状の原因を探るためにできること

「なぜ自分がこうなってしまったのか、わからない」。うつ病と向き合う中で、そんな思いを抱く方も多くいます。自分の症状の背景を理解しようとすることは、回復への大切な一歩です。

まずできることとして、自分の日常を振り返ってみることがあります。最近、どんな場面でつらさを感じたか、どんな出来事の後から調子が悪くなったか。心の中に残っている違和感や引っかかりを、ノートやメモに書き出してみると、ストレスの要因が見えてくることもあります。

また、自分の性格や思考のパターンに目を向けるのも役立ちます。たとえば、「すべて完璧にこなさなければ」と思っていたり、「人に頼るのは迷惑になる」と感じていたり。そうした無意識の思い込みが、自分自身を知らず知らずのうちに追い込んでいることもあります。

さらに、医師やカウンセラーなど、専門家と一緒に自分の状態を整理することも非常に有効です。「こうなった原因がわからなくて不安」と、そのまま伝えてみてください。そこから丁寧に話を聞き、一緒に背景を探ってくれることで、少しずつ霧が晴れていく感覚を得られるかもしれません。

自分自身を理解しようとする姿勢は、決してわがままではなく、むしろ自分を大切にしようとする尊い行為です。その一歩一歩が、再発を防ぐ土台にもなっていきます。

うつ病の再発を防ぐために知っておきたい5つの対策とは

うつ病の再発率は約60%

うつ病は一度回復してしまえば再発しないと思っている方もいるかもしれません。しかし、厚生労働省の報告によれば、うつ病から回復しても60%の人は再発すると言われています。

さらに、2度罹患するとその後の再発率は70%、3度罹患するとその後の再発率は90%と、再発率が高くなっていくと報告されています。つまり、うつ病にかかってしまった方は2度目の再発を繰り返さないことが大変重要なのです。

再発率が高い理由としては、自己判断による通院・服薬の中断が挙げられます。また、症状が回復してくると周囲のサポートが減少し、うつ病罹患前と同じストレス状況が繰り返されてしまうことも再発を引き起こす要因となるでしょう。

ここでは、再発を防ぐための5つの対策をご紹介します。

主治医としっかり相談をする

「調子が良い」と感じるようになっても主治医から治療終了と告げられない限りは、通院を継続するようにしましょう。

「通院も服薬も必要ないのではないか」と思ったときは自己判断で通院を中断せずに、主治医にその旨を伝え、相談してみることが大切です。主治医が治療の見通しを教えてくれるでしょう。

認知行動療法に取り組む

うつ病の症状として不安やイライラといった「気分・感情」の症状があります。このような症状には、「認知行動療法」が効果的です。

認知行動療法は、ストレスの原因が出来事そのものではなく、その出来事に対する「考え方」や「捉え方」にあることを学ぶアプローチです。

例えば、仕事で失敗した時に「仕事で失敗した自分は無能だ」とすぐに自己否定的に考えてしまう癖に対して、「一度の失敗で自分の価値は決まらない」「仕事が成功している時もある」など、現実と照らし合わせて考え方や捉え方の幅を広げていく練習を行います。

詳しくはこちらの記事で紹介しています。あわせてご覧ください。

過去の状態を振り返る

まずは、自分がうつ状態だったときのことを思い出してみましょう。

  • どんな出来事や環境の変化があったか
  • 体調や気分にどんな変化があったか
  • 無理をしていなかったか


過去をふりかえることで、
自分の「再発のサイン」に気づきやすくなります。

セルフケアを習慣にする

調子がよくなっても無理は禁物。再発を防ぐには、日々のセルフケアが欠かせません。自分を大切にする行動を心がけ、習慣化させましょう。

下記は気軽に取り組めるセルフケアの一例です。

  • 質のよい睡眠で「免疫力を高める」
  • 生活リズムを自動で記録し、自分の状態を把握する
  • ポジティブになれる行動を増やし、気分を変える


詳しくはこちらの記事で紹介しています。あわせてご覧ください。

リワークを活用して社会復帰の準備をする

ある程度まで体調が回復してきたら、「リワーク」の利用も検討してみてください。

リワークとは、「Re-Work(再び働く)」を意味しており、うつ病や適応障害などの精神面の不調からある程度まで回復したメンタルヘルス不調者を対象に、職場・社会復帰を目指すプログラムのことです。

休職期間・療養期間が長引くと、体力・集中力・コミュニケーション力などがどうしても低下していくため、仕事復帰する際の負荷が大きく、ストレスを感じやすくなります。スポーツ選手が怪我をした際にリハビリが不可欠なように、メンタル不調によって仕事を離れた方が段階的に社会復帰していくためのリハビリ機関にあたるのがリワークです。

うつ病の原因と向き合い、繰り返さないための対処を学べるリワーク「リヴァトレ」

リヴァでは「リヴァトレ」というリワークを行っています。グループワーク形式で行われる多彩なプログラムを通して、心身のコンディションを整えながらよりよい復職を目指すトレーニングが可能です。

リヴァトレでは、調子が悪くなる前の注意サインに早めに気付けるように、自分の状態を具体的に把握し、体調の波を安定させられるようなさまざまなプログラムを実施しています。一人では自分のストレスに気づくのが難しい方、サインが分からずに急に体調が悪くなってしまう方におすすめです。

ここでは、リヴァトレのプログラムの一例をご紹介します。

再発サインと対処法を見つける「コーピングシートワーク」

「コーピングシートワーク」は、自分のこころの調子を客観的に見つめ直すプログラムです。「普通な状態」と「悪い状態」の違いや、その変化のきっかけ・注意サインを整理し、再発を防ぐための対処法(コーピング)を検討します。
自分に合った対応方法を知り、調子を崩す前に気づいてケアできる力を養うのに効果的です。自分の「再発のサイン」にも気づきやすくなります。

「認知行動療法」でストレス対処法を身につける

リヴァトレでは、認知行動療法をグループで行う「集団認知行動療法(CBGT)」を導入しています。

グループで行うことで自分にはない視点の意見に触れることができ、様々な捉え方を知ることができます。どんな場面でも自分の反応を“絶対のもの”と考えなくてよくなり、捉え方の選択肢が広がることが集団認知行動療法(CBGT)のメリットです。

また他の参加者の事例について考えたり、意見を述べたりしているうちに、自分のことについても新しい捉え方ができるようになる人もいます。


プログラムだけでないリヴァトレのメリット

リヴァトレでは、職場へ通勤するのと同じように、センターへ通いながら復帰に向けたトレーニングを行います。規則正しい生活が身に付けられるため、生活リズムの改善にも役立ちます。

また疾病理解やビジネススキル向上など、利用者の特性や体調に合わせた様々なプログラムが用意されています。

同じ悩みを持つ仲間と共感し合い、時には試行錯誤をしながら支え合うことで、自宅療養だけでは得られない孤独や不安の解消にも繋がるでしょう。

おわりに

うつ病は、誰にでも起こりうるこころの病気です。環境や性格、身体的な要因が複雑に絡み合って発症するため、自分のせいだと責める必要はありません。

まずは、自分の状態や考え方の傾向に目を向けることが、再発を防ぐための大切な一歩になります。不調のサインに早く気づき、自分に合った対処法を少しずつ身につけていくことで、回復への道はきっと開けていきます。無理せず、自分のペースで取り組んでいきましょう。

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リヴァトレは、うつなどのメンタル不調でお悩みの方の復職・再就職をサポートするリワークサービスです。

復帰に向けて行う取り組みについて、無料パンフレットでわかりやすくご紹介しています。

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raiko
この記事の監修
来迎成美
株式会社リヴァ リヴァトレ事業部

復職・再就職コーディネーター/精神保健福祉士1998年岩手県生まれ。東北福祉大学を卒業後、2021年に新卒社員としてリヴァへ入社。現在はリワーク支援施設「リヴァトレ仙台本町」で、プログラム提供に携わる。自分らしく感じる瞬間は「道に迷っている時」。

 

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