働く準備をサポートする「就労移行支援」とは?対象者・利用条件・費用・サービス内容をわかりやすく解説

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「働きたいけれど体調や障害のことが不安で、一歩が踏み出せない」。そんな方を支える制度のひとつが「就労移行支援」です。就労移行支援では、生活リズムの改善からスキルの習得、就職活動のサポート、そして就職後の定着までをトータルで支援します。

しかし「そもそも誰が利用できるのか」「どんな支援が受けられるのか」「費用はいくらかかるのか」といった疑問を持つ方は少なくありません。

この記事では、制度の対象者や利用条件、受けられるサービスの内容、費用や注意点まで、初めての方にもわかりやすく解説します。

就労移行支援とは?

就労移行支援とは、障害や難病のある方が、一般企業への就職をめざすために利用できる福祉サービスです。障害者総合支援法に基づいており、原則として18歳以上65歳未満で就労意欲がある方が対象となります。

利用期間は最大2年間が原則ですが、必要に応じて延長が認められる場合もあります。

この制度の大きな特徴は「就職前から就職後まで一貫して支援が受けられる」ことにあります。単なる職業訓練にとどまらず、生活リズムや体調管理のサポート、就職活動に必要なスキルの習得、職場実習による適性確認、さらに就職後のフォローまでを包括的に行う仕組みです。

就労移行支援の目的は、大きく分けると次の3つです。

  • 就職に必要なスキルや知識を身につけること
  • 自分に合った職種や働き方を見つけること
  • 就職後に安定して働き続けられるよう定着を支援すること

 

「働きたいけれど、いきなり一般就労は難しい」という人にとって大きな橋渡しの役割を果たします。訓練や支援を通して自分に合った働き方を見つけることができるのも、就労移行支援の大きな魅力です。

たとえば「週5日フルタイムで働けるのか、それとも短時間勤務から始めたほうがよいのか」「事務系の仕事が合うのか、それとも接客や作業系が向いているのか」といった点は、実際に体験してみなければ分からない部分も多くあります。就労移行支援を利用することで、支援員のサポートを受けながら段階的に挑戦し、自分に合った仕事や職場環境を探ることができます。

また、支援を通じて「自分にはどのような配慮が必要か」を整理できるのも大きなメリットです。就職活動や面接の場で、自分の特性や必要な支援を適切に伝えられるようになると、就職後のミスマッチを減らし、長く働き続けやすくなります。

このように、就労移行支援は「働きたい」という気持ちを形にするための制度であり、安心して社会参加するための大切なステップになります。

誰が利用できる?就労移行支援の対象者と申し込み条件

対象者は、身体障害・精神障害・知的障害のある方、または指定難病を抱える方です。精神疾患による利用者が近年増えており、うつ病や双極性障害、発達障害での利用例も多くあります。必ずしも障害者手帳を持っている必要はなく、医師の診断書や意見書によって支援の必要性が認められるケースもあります。

利用条件は「利用開始時点で18歳以上65歳未満で、一般企業での就労を希望していること」です。すぐの就職が難しくても、支援を受ければ就職が可能だと見込まれる方は対象に含まれます。

手続きの流れは次の通りです。

  1. 自治体や事業所に相談
  2. 障害福祉サービスの利用申請
  3. 生活状況や就労意欲を確認する面談・調査
  4. 「障害福祉サービス受給者証」の交付
  5. 事業所と契約して利用開始

必要な書類は、本人確認書類、印鑑、障害者手帳(または診断書)、マイナンバー関連書類など。その方のご状況や自治体によって必要な手続きも異なりますので、詳しくは住民票のある自治体に確認することが重要です。開始までの期間も自治体によって差がありますが、数週間から1か月程度が目安です。

また、利用料金は原則1割負担ですが、世帯所得に応じて月額上限が決められています。生活保護世帯や非課税世帯は無料、住民税を支払っている一般世帯でも数千円から1万円程度で利用できるケースが多いです。

就労移行支援で受けられる具体的なサポート内容

就労移行支援のプログラムは事業所ごとに特色がありますが、共通して提供される主な内容は次の通りです。

生活面の支援

安定して働くためには、まず日常生活のリズムを整えることが欠かせません。就労移行支援では、毎日の起床・就寝の習慣づけや、体調のコントロール方法を学ぶことができます。また、ストレスや不安を感じたときにどう対処するかを練習するプログラムも用意されており、働く前に生活の基盤を固めることができます。

こんな人におすすめ:少しずつ活動量を増やしたい方、生活リズムが乱れがちな方、ストレスで体調を崩しやすい方など。

スキル訓練

ビジネスの現場で求められるスキルを習得するため、WordやExcelなどのパソコン操作や、メール・電話応対などのビジネスマナーを学びます。さらに、報告・連絡・相談や、チームで協力して作業を進めるコミュニケーション練習も行われ、就職後にスムーズに働ける力を養います。

こんな人におすすめ:職場での会話やコミュニケーションに不安を感じる方、ビジネスマナーに自信がない方など。

就職活動の支援

就職に直結するサポートとして、応募書類の作成や添削、面接での受け答えを練習する模擬面接があります。求人探しでは、自分の希望や適性に合った職種を支援員と一緒に検討し、企業とのマッチングも支援してもらえます。ひとりで進めると不安になりやすい就職活動も、伴走してもらえることで安心感が生まれます。

こんな人におすすめ:就職活動の経験が浅い方、面接が苦手な方、求人探しの方法が分からない方など。

職場実習

企業に実際に通い、職場の雰囲気や仕事内容を体験できる機会があります。ここで「どんな仕事が自分に合うのか」「体調面でどのくらい働けるのか」を確認できます。実習先での評価が就職につながることもあり、企業との接点を持てる重要なステップです。

こんな人におすすめ:自分に合う職種が分からない方、ブランクが長く仕事に不安がある方、まずは短期間から試してみたい方など。

定着支援

就職して終わりではなく、働き始めてからのフォローも受けられます。定期的な面談や職場訪問を通じて、体調や人間関係の悩みを相談できる体制が整っており、必要に応じて勤務時間や業務内容の調整について企業に働きかけてもらえることもあります。こうした支援があることで、長く安心して働き続けられるのです。

こんな人におすすめ:職場にうまくなじめるか不安な方、人間関係に悩みやすい方、過去に体調不良で退職経験がある方など。

就労移行支援と就労継続支援(A型・B型)の違い

就労支援の制度には大きく分けて「就労移行支援」と「就労継続支援(A型・B型)」があります。それぞれの目的と役割は異なります。

就労移行支援

一般企業での就職をゴールとするサービスです。利用期間は原則2年間と定められており、その間に必要なスキルを学び、就職活動を進めていきます。カリキュラムは生活リズムの安定やビジネスマナーの習得、職場実習、就職後の定着支援まで幅広く用意されており、「働きたい」という思いを現実にするための橋渡しの役割を果たします。

【向いている人】一般企業で働くことを目指したい方、ブランクがあって復職に不安がある方、自分に合う職種を探したい方

就労継続支援A型

事業所と雇用契約を結んで働く制度です。最低賃金以上の給与が支払われるため、雇用労働者としての安定性があります。仕事内容は軽作業や事務補助などが中心ですが、勤務時間や業務内容は配慮されることが多く、一般就労が難しくても「決まった時間に通って安定して働ける力がある方」に適しています。

【向いている人】フルタイムは難しいが安定した収入を得たい方、規則正しい勤務を続けられる方、将来的に一般就労に移行したい方。

就労継続支援B型

雇用契約を結ばず、作業に応じた工賃を受け取る仕組みです。仕事内容は軽作業や手工芸、清掃などが多く、収入は少額にとどまりますが、体調や障害特性に応じて無理なく参加できるのが特徴です。社会参加や生活リズムの維持を目的としているため、「まずは日中活動から始めたい」という方に向いています。

【向いている人】長時間の勤務が難しい方、体調や症状の波が大きい方、社会とのつながりを持ちたい方。

 

このように「一般就労を目指すか」「安定した雇用を希望するか」「まずは日中活動から始めたいか」によって利用するサービスが分かれていきます。

就労移行支援を利用する前に押さえておきたい事業所選びのポイント

就労移行支援を利用する際には、制度上の条件だけでなく「どの事業所を選ぶか」も非常に大切です。利用期間は最大2年間が原則で、延長は自治体の判断に委ねられます。対象年齢は利用開始時点で18歳以上65歳未満で、同じ時間帯に他の障害福祉サービスを併用することはできません。

そのうえで、自分に合った事業所を見極めるためには、以下のポイントを確認しておくと安心です。

就職率や定着率などの実績が公開されているか

実績がしっかり公開されている事業所は信頼性が高く、支援の質も見えやすくなります。就職率が高いだけでなく、その後の定着率もチェックすることで「就職してから続けられるかどうか」の目安になります。

面談や個別サポートの体制が整っているか

グループプログラムだけでなく、個別面談やキャリア相談の時間がどれくらい確保されているかも大切です。自分の特性や悩みに合わせて柔軟に支援してもらえるかを確認しましょう。

企業とのつながりや実習先が十分にあるか

企業実習は、自分の適性を確かめる大切な機会です。提携企業が多い事業所であれば、幅広い職種を体験でき、就職先の選択肢も広がります。

自分の課題や目標に合ったプログラムがあるか

事務系のスキルを身につけたい、コミュニケーションを強化したいなど、人によって目標は違います。事業所のプログラム内容が自分の課題に合っているかを確認しておくことが大切です。

通いやすさや事業所の雰囲気が自分に合っているか

毎日あるいは週数回通う場所だからこそ、アクセスの良さや施設の雰囲気は重要です。見学や体験の際には、利用者やスタッフの雰囲気、自分が通い続けられそうかどうかも確かめておきましょう。

見学や体験利用を活用すれば、1日のスケジュールや活動内容、体調を崩したときの対応方法まで把握できます。また、内定までにかかる平均期間や、就職後のフォロー体制を比較することで、より納得感のある事業所選びができるでしょう。

リヴァトレとは

弊社でも「リヴァトレ」という就労移行支援事業所を東京・仙台・大阪で運営しており、職場へ通勤するようにセンターへ通いながら、よりよい復職・再就職を目指すトレーニングをすることができます。

体調が回復し、今後の生活やキャリアについて考える余裕が生まれた段階で、一度相談してみるのはいかがでしょうか。また、センターへは週2日から通所可能なので、体調が回復しているか不安な方でも少しずつトレーニングを始めることができます。

働くために必要な体力や生活リズムを整えたい方、服薬と休養以外のストレス対処法を身に付けたい方、職場で働く力の回復・ビジネススキルの向上を目指したい方、働き方・生き方といったキャリアプランについて見つめ直したいという方におすすめです。

センターの無料見学・体験も可能で、無料で資料請求もできますので、ぜひご覧ください。

 

 

厚生労働省の報告などによれば、うつ病から回復しても60%の人は再発すると言われており、さらに、2度罹患するとその後の再発率は70%、3度罹患するとその後の再発率は90%と、罹患回数が増えるほど再発率が高くなっていくとされています(※)。

つまり、うつ病にかかってしまった方の2度目の再発を繰り返さないことが大変重要です。退職後の再発を予防するためにも、就労支援機関を活用しながら再発予防を身に付け、納得のいくキャリアを考えるきっかけにしていただければと思います。

また、退職すると孤独に感じてしまったり、1人で悩みを抱えて苦しくなったりすることもあるかと思います。そのような状態が続くと、より不安が大きくなってしまうため、相談先を持っておく事はとても大切です。誰かに相談することで新しい解決策が見つかる可能性もあります。

一歩踏み出したいと思ったタイミングで、支援施設に相談することも一つの選択肢として検討してみてください。

※一般社団法人うつ病の予防・治療日本委員会「うつ病診断の要点」(2008年)


▶リヴァトレの詳細はこちらからご覧ください
https://liva.co.jp/service/training

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raiko
この記事の監修
来迎成美
株式会社リヴァ リヴァトレ事業部
復職・再就職コーディネーター/精神保健福祉士1998年岩手県生まれ。東北福祉大学を卒業後、2021年に新卒社員としてリヴァへ入社。現在はリワーク支援施設「リヴァトレ仙台本町」で、プログラム提供に携わる。自分らしく感じる瞬間は「道に迷っている時」。

 

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