仕事が原因でうつ病に…そんな場合に備えて知っておきたい「労災保険」

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労災保険は、労働者災害補償保険法に基づく制度です。

名前は聞いたことがあっても「制度の内容は詳しく知らない」という方も多いのではないでしょうか。

労災保険とは?

労災保険とは、仕事や通勤の最中に怪我や病気が発生した場合に保険給付が行われる制度です。

保険といっても、労働者が掛け金を負担するのではなく、会社が全額を負担します。給与明細を見ても「労災保険料」が引かれていることはありませんよね。

あくまでも「業務上」や「通勤途中」による怪我や病気が対象なので、業務外であれば支給されません。業務外に生じた怪我や病気の場合は、通常の健康保険の対象となります。

「業務上」かどうかは、一定の書類を揃えて、会社がある管轄の労働基準監督署に届け出をすることで判断されます。

給付までの流れ

基本的に労働者本人や遺族が労災保険の申請をします。会社側の協力も必要で、労働保険番号等の記載に加えて、会社が署名(事業主証明)をする欄があります。

しかし、「負傷又は発病年月日」や「災害の原因および発生状況」を会社側が把握できないなどの理由で記載をしてもらえない状況でも、労働基準監督署には提出自体は可能です。請求書は労働基準監督署に提出してください。

その後、労働基準監督署による請求人や事業主から聴き取りや、必要に応じて専門医等からの意見聴取を行い、労働基準監督署長によって給付が決定されます。

だいぶ簡略化した流れをお伝えしましたが、概ねこのような流れです。

参考:北岡大介「精神障害の労災認定と企業の実務対応」(日本リーダーズ協会、2013年)

労災認定の基準

精神障害に関する労災認定は「心理的負荷による精神障害の認定基準」によって負荷の程度を判断します。

必ずしも一つの事案だけで精神疾患が発症したといえない場合もありますので、複数の事案を総合的に判断していきます。

精神障害の労災認定基準は以下の通りです。

1)認定基準の対象となる精神障害を発病していること 2)認定基準の対象となる精神障害を発症前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること 3)業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

認定基準の具体的な判断方法は、厚生労働省のホームページに掲載されているので確認してみてください。

支給額は?

実際の支給額は、当該労働者の給与に基づいて算出されます。

療養にかかった費用が支払われるのに加え、休業補償給付として、給付基礎日額の80%相当額とされることが多いのですが、概ね給料の80%くらいと想像して頂くと良いかと思います。

最後に
労災保険を請求する際にあわせて取り組みたいこと

私としては、労災保険の請求にあわせて、ご自身の仕事の仕方や適切な職場環境、またどんなことをストレスに感じ、どのような対処方法が考えられるかを振り返り、分析することをお勧めしています。

なぜならば、労災保険の請求が通るか通らないかはとても大切な内容ではあるのですが、それ以上に今後どのように働いていくかの方が重要だと考えるからです。

勿論、体調が良く無いときは難しいと思いますので、出来事が落ち着いた後や、体調が安定してきてからが良いかもしれません。

これらの分析をすることで、仮に環境の悪い職場で働くことになってしまったとしても、症状がひどくなる前に対処できる可能性が高まると考えます。

自分自身のあり方を点検することで、自分の身を守る良い機会になるのではないでしょうか。

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この記事を書いた人
脊尾 大雅 秋葉原社会保険労務士事務所

社会保険労務士/精神保健福祉士
メンタルヘルス対策、ストレスチェック、アサーションと労務管理の専門家。
労使双方の成長につながる研修の実施を通じて、より良い職場環境づくりを行なっている。

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