リワークプログラムを検討している方の中には、「リワークにはどんな種類があるのか」「実際にどんな内容のプログラムが受けられるのか」「それによってどんなスキルが身につくのか」など、具体的なイメージが持てない方も多くいらっしゃるかと思います。
本記事では、リワークの種類ごとの違い、具体的なプログラム内容、実際のスケジュール感などを分かりやすく解説しています。
リワークについて詳しく知りたい方にとって、理解が深まる内容となっていますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
リワークプログラムとは
リワークプログラムの定義と目的
リワークとは、「Re-Work(再び働く)」を意味しており、うつ病などの精神面の不調からある程度回復した方を対象に、職場や社会への復帰を目指すプログラムのことです。対人コミュニケーションやストレス対処法など、利用者の特性や体調に合わせた様々なプログラムが用意されています。
うつ病や適応障害などのメンタルヘルス不調は、休息や服薬によって症状が回復したとしても、社会復帰後に再発を招きやすい病気です。というのも、休職期間・療養期間が長引くと、体力・集中力・コミュニケーション力などがどうしても低下していくため、仕事に復帰する際の負荷が大きく、ストレスを感じやすくなってしまうのです。再発後は休職期間が長期化したり、何度も休職と復職を繰り返すことも珍しくありません。
自宅療養と社会復帰の間に存在する大きなギャップを無くし、再発を防ぐためには、リハビリが必要です。スポーツ選手が怪我をした際にリハビリが不可欠なように、メンタル不調によって仕事を離れた方が段階的に社会復帰していくためのリハビリにあたるのがリワークプログラムです。
リワークプログラムで身に付けられるもの
リワークには、利用者が抱える課題に応じた様々なプログラムが実施されています。いくつか例をご紹介します。
Q. 生活リズムが乱れ、夜に何度も目が覚めてしまう..
A. 職場へ通勤するのと同じようにリワーク施設に通いながら、復帰に向けたトレーニングを行います。ウォーキングや軽スポーツなどの体を動かすプログラムを実施している施設もあり、規則正しい生活が身に付けられます。
Q. 職場での人間関係に常に悩んでいる...
A. 自分の思考や行動のクセに気づき、柔軟な視点と行動を身につけることができます。また、グループワークを通して、「自分も相手も尊重するコミュニケーション」を習得することで、対人ストレスを減らすことができます。
Q. ストレスが溜まりやすく、すぐイライラしてしまう...
A. ストレスの要因に働きかけながら、感情をコントロールするスキルを身に付けます。日常的に使える実践的な方法を学ぶことで、復職後のストレス軽減にも役立ちます。
リワークの種類
リワークにはいくつか種類があり、どのリワーク施設を利用するかによって、かかる費用や受けられるプログラム内容も異なります。 リワークは、運営主体によって大きく4つに分類できます。
- 精神科や心療内科などの病院で行う「医療リワーク」
- 地域障害者職業センターが行う「職リハリワーク」
- 各企業が独自に行う「職場リワーク」
- 企業・NPO等の民間団体が行う「民間系リワーク」
次の章では、各リワークごとの違いについて説明していきます。
自分に合ったリワークプログラムを受けられる施設は?種類ごとの違いを解説
医療機関のリワーク
医療リワークは、精神科や心療内科の医療機関によって行なわれており、うつ病などで休職中の方のうち、復職の意欲がある方が対象です。リワークの期間は休職者の体調やプログラムによって異なり、数ヶ月~1年以上と幅があります。
健康保険制度のなかで提供されているので、原則として3割負担で利用できます。負担額は施設によってさまざまですが、自立支援医療を申請することで、自己負担額が3割から1割となり、1日あたり600~800円で利用できます。自立支援医療では前年の世帯所得により1か月あたりの上限金額(0円~20,000円)が設定されることがあります。
| 対象者 | 復職の意欲がある休職者 |
| 目的 | 病状の回復と安定、最終的には再休職の予防を目指す |
| 期間 | 休職者の体調やプログラムによって異なり、数ヶ月〜1年以上と幅がある |
| 費用 | 自立支援医療を申請すると、自己負担額が3割から1割(1日あたり600~800円) |
| 確認ポイント |
・リワークを実施している医療機関が近くにあるか |
医療リワークのメリット
- 専門医や保健師、看護師、臨床心理士など、専門家がスタッフの中にいることが多く安心感がある
- リハビリの意味合いが強く、再休職の予防を最終目標としているため、プログラムの中に病状の回復と安定を目指した治療も含まれている
医療リワークのデメリット
- 復職意欲のある休職者が対象のため、失業中の方は医療リワークを利用できない
- リワークを実施している医療機関は限られており、通院先と主治医の変更が必要になる場合がある
職リハリワーク(障害者職業センター)
各県に設置されている地域障害者職業センターが職場復帰支援(リワーク支援)の名称で実施しています。センターの職員が休職者本人と雇用主、主治医をコーディネートし、三者の合意後12~16週の職業リハビリテーションを実施します。
目的は職場への適応に向けた本人と雇用主への支援であり、治療が目的ではないのでご注意下さい。
| 対象者 | 復職の意欲がある休職者と、雇用事業主の双方(公務員は利用不可) |
| 目的 | 職場への適応に向けた本人と雇用主への支援(治療が目的ではないので注意) |
| 期間 | 12~16週間 |
| 費用 | 無料(施設によっては有料の場合もある) |
| 確認ポイント |
利用開始までに、どのくらいの期間がかかるか |
職リハリワークのメリット
- 費用は基本的に無料(但し、施設によっては有料の場合もあり、事前に確認が必要)
- センターでは休職者本人だけでなく、事業者に対してもアドバイスや支援を行い、スムーズな復職をサポートしてくれやすい
- 障害や疾患がある方の就労や就職に関するノウハウが豊富にあるため、具体的なアドバイスが受けられる
職リハリワークのデメリット
- 雇用保険財源事業のため、公務員は利用できない
- 病状の回復や治療が目的ではないため、専門医などが在籍していない場合が多い
- 無料のため希望者が多く、利用まで数ヶ月間待機しなければならない場合がある
職場リワーク
企業内で行われる復職支援のためのプログラムを「リワーク」と呼ぶ場合があります。職場のリワークとして内部に医療機関や専門部署を有している企業や役所では、職場復帰訓練制度を実施している事例があります。
また、外部組織のEAP(従業員援助プログラム)サービスを利用する場合もあります。
職場リワークは、復職後に安定した就労ができるのかを見極めることが目的です。
| 対象者 | 従業員 |
| 目的 | 復職後に安定した就労ができるのかを見極めること |
| 期間 | 個人の状態や会社の制度によって異なる |
| 費用 | 無料(企業によっては有料の場合もある) |
| 確認ポイント |
自社に職場リワーク(復職支援プログラム)があるか |
職場リワークのメリット
- 企業内で行われるため、社内の人間と連絡や連携が取りやすく、他の施設よりも復職時のギャップが少なく感じやすい
- 試し出勤をして職場の雰囲気に慣れるなど、正式な復職に備えて段階的な行動ができる
職場リワークのデメリット
- 導入している企業が少なく、一部の企業に限られている
- 企業内で行われるため、社員など周りの目が気になり、焦りや不安から体調不良になる可能性もある
民間系のリワーク
うつ病などで休職中の方のうち、復職の意欲が有る方が対象になります。他のリワークとの違いは、失業中でも就職への意欲があれば利用できるという点です。
リワーク期間は人によって異なりますが、およそ3〜6ヶ月で復帰する方が多く、失業中の方は1年以上かかる場合もあります。
費用は、福祉制度を利用することによって自己負担額を1割に抑えることができます。さらに、前年の世帯所得(本人と配偶者)に応じて、1か月あたりの上限金額(0円~37,200円)が設定されています。以下こちらのよくある質問記事も参考にして下さい。
(参考:よくあるご質問「Q.利用料はいくらですか」)
| 対象者 | 復職の意欲のある休職者に限らず、失業中でも就職への意欲があれば利用可能 |
| 目的 | 再発を予防し、復職後も安定して働き続けられる状態をつくること |
| 期間 | 人によって異なるが、およそ3〜6ヶ月で復帰する方が多く、失業中の方は1年以上かかる場合もある |
| 費用 | 福祉制度を利用すると自己負担額が1割 ※前年の世帯所得(本人と配偶者)に応じて、1か月あたりの上限金額(0円~37,200円)が設定されている |
| 確認ポイント |
自分に合ったプログラムを実施しているか |
民間系のリワークのメリット
- 失業中でも就職への意欲があれば利用できる
- 農作業など独自のプログラムを取り入れている施設もあり、働き方の視野が広がる場合がある
民間系のリワークのデメリット
- 都内あるいは都市部で行われているものが大半になるため、その他の地方で探すのは少し難易度が高い
- 職リハリワークと同様に専門医が在籍していない場合が多い
リワークの費用が心配・・・
休職・離職中に活用できる支援制度
休職中の経済的支援制度
ここまで、各種リワークにかかる費用をご紹介してきました。 職場復帰を目的とした職リハリワークなどは無料で利用できますが、治療や再発予防にしっかり取り組む場合は、医療リワークや民間リワークの活用が求められます。
支援制度を利用すれば、収入が減る休職や離職中の経済的負担を軽減することができますので、休職・離職中に活用できる支援制度をいくつか簡単にご紹介いたします。
傷病手当金(健康保険法による)
健康保険、各種共済組合などの被保険者が受け取ることができます。うつ病による休職の場合、まず有給休暇や病気休暇などの消化後に、傷病手当金を申請・受給するケースが多いようです。休職後に退職した際も、続けて受給できる場合もあります。
傷病手当金は、目安として就業時の給与の約3分の2程度の金額をもらうことができます。受給期間は、受給開始日から1年6か月が上限になります。
参照:病気やケガで会社を休んだとき(全国健康保険協会 Webサイトより)
自立支援医療制度
うつ病などで継続した通院が必要な際に、医療費の一部について支援を受けられる制度です。通常、医療保険による医療費の自己負担額は3割ですが、自立支援制度(精神通院)の併用により、原則1割まで軽減されます。
要するに「通院やお薬にかかる費用負担が1/3に抑えられる」ということです。
先述した通り、医療リワークを利用する際にもこの制度の活用が可能です。
参照:自立支援医療(精神通院医療)について(東京都保健福祉局Webサイト)
民間系リワーク「リヴァトレ」の場合
リヴァトレの特徴
具体的なリワークプログラムのイメージができるように、民間系リワークの一つとして、弊社が運営する「リヴァトレ」を紹介します。
リヴァトレのプログラムには「生活習慣」「ビジネス実践」「ストレス対処」「キャリア」の4つのカテゴリがあります。自身の目標に合わせて、各プログラムを活用していただくことが可能です。
また、リヴァトレの特徴として、スローガンにも掲げている「戻ろう、ではなく、進もう」という考え方があります。うつなどにより休職・離職をすると、「元の自分に戻りたい」と考え、会社への復職・再就職だけが選択肢になっている方が多くいらっしゃいます。
リヴァトレでは、復帰に向けて準備をしている時間を生き方を見直すチャンスと捉え、自分の人生を見つめ直し、より自分に正直な人生へ進むことが何より大切だと考え、支援を行っています。
具体的なプログラム内容
実際にリヴァトレで行っているプログラムの一例を紹介します。
集団認知行動療法(CBGT)
#コミュニケーション #ストレス対処
CBGTとは、グループで行う認知行動療法です。これは、私たちが無意識に持っている「考え方のクセ」に気づき、現実と比較して「本当にそうだろうか?」と冷静に見直す習慣を身につけていくプログラムです。
たとえば、1回だけの失敗を取り上げて、「自分は全くダメな人間だ」と考えてしまう場合、それがストレスや落ち込みの原因となることがあります。
そこで「今回は失敗したが、同じ仕事を先週はできていた」といった振り返りを行うことで、捉え方の幅が広がります。これによりストレスに対する耐性が高まるため、感情を安定させやすくなる効果が期待できます。結果的に、うつ病などのメンタル不調の再発防止にもつながります。
アサーション
#コミュニケーション #ストレス対処
アサーションとは、「自分も相手も大切にする伝え方」をするコミュニケーションです。
つい言いたいことを我慢してしまったり、逆に強く言いすぎてしまったりすることはありませんか?
アサーションプログラムでは、架空の場面を設定をしてロールプレイを行い、自分の気持ちを「私はこう感じている」と素直に伝える方法を学びます。
自分も相手のことも配慮した表現を身に付けることで、日々のストレス軽減や、職場での円滑なコミュニケーションに繋がります。
農作業・生活体験
#キャリア #生活習慣
農作業や、都会から離れた生活をされている方との交流を行なうことで、将来の生き方や働き方を見つめ直すためのヒントを得るプログラムです。
キャリアデザインワーク
#キャリア
これまでとこれからの「働き方」「生き方」を整理し、探求していくプログラムです。
過去の経験から自分のやる気の源泉をさぐる『モチベーションカーブ』や、未来に向けて大切にしたいワードを選び掘り下げる『バリューワード』、数年後の望ましい未来像を具体的に描く『未来地図』など様々なアプローチを行います。
イキカタサガシ
#キャリア #生活習慣
都心から離れた場所で自分を見つめ直すプログラムで、不定期で開催しています。これまで千葉県匝瑳市や奈良県下北山村、高知県四万十町で実施してきました。
日常生活から離れ、慣れない環境での暮らしや出会いを通して、想像もしなかった選択肢の存在に気づき、改めて「自分はどう生きたいのか」と向き合うきっかけを提供することを目的としています。
通所スケジュール
リヴァトレでは、利用者の方の状況やコンディションに合わせながらスケジュールを組んでいきます。
開始時は午後のみなど、自分の心身のコンディションに合わせて通所できます。
(リヴァトレでは「週2日」からの通所が可能です)
1日の流れのイメージ

1週間のカリキュラムのイメージ

※プログラム受講の他、自分のペースで自習をすることも可能です
リワークプログラムを受ける期間
リヴァトレでは、3~7か月利用される方が最も多く、次いで多いのが9か月以上となっています。
もし平均期間より長く利用することになっても、リワークでは利用者ごとの背景に合わせた段階的な目標を設定することが多いため、「他の人より時間がかかっているのでは?」と心配する必要はありません。
リワークは「準備のための時間」と考え、自分に合ったペースで進むことが最も大切です。焦らずに、自分の目標に向けて取り組んでいきましょう。
リワークプログラムを始めるには
利用までの流れ
実際にリワークプログラムを利用するための手続きは、運用している制度によって異なります。
福祉制度に基づいた民間リワークの場合、障害手帳、自立支援医療の受給者証、医師の診断書のいずれかを持参し、市区町村の利用可否の判断を受ける必要があります。
お住まいの市区町村によって手続きにかかる時間は異なりますが、一般的に約1か月ほどかかります。ただし、施設によっては、市区町村の利用決定が出る前から利用を始められる場合もあります。
ほとんどの施設では無料で相談や体験が可能ですので、気になる施設があれば、ホームページを確認し、見学や問い合わせをしてみましょう。
見学・体験会
リヴァトレでは随時、センター見学やプログラム体験会を開催しています。個別のご相談ももちろん可能です。
インターネットや資料にある情報も重要ですが、施設の雰囲気は、実際に足を運んでみなければ分からないものです。自分に合ったリワーク施設を見つけられるよう、いくつか候補をピックアップし、比較検討してみることをおすすめします。
グループワークの中で自己理解を深めたい方や、ビジネススキルを高めたい方、キャリアについてじっくり向き合いたい方は、リヴァトレにもぜひ見学会にも参加いただけたら嬉しいです。
まずは無料パンフレットをご覧ください
リヴァトレは、うつなどのメンタル不調でお悩みの方の復職・再就職をサポートするリワークサービスです。
復帰に向けて行う取り組みについて、無料パンフレットでわかりやすくご紹介しています。
まずはお気軽にお申込みください。
※実際の支援スタッフへのご相談、事業所のご見学はこちらから
LINE公式アカウントでメンタル不調からの回復に役立つ限定情報配信中!
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